【イクリプス AVN-SZX04i インプレ】地図の鮮度にこだわり抜いた“つながるナビ”…会田肇

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通信ユニットの標準装備化によって、3年間つねに最新の地図が利用できる。
通信ユニットの標準装備化によって、3年間つねに最新の地図が利用できる。 全 18 枚 拡大写真

昨年、エージェントによる音声対話型目的地検索を実現して大きな注目を浴びたイクリプス。次なる一手は、通信ユニットを標準装備した「つながるナビ」の実現だ。富士通テンが掲げる「FutureLink」コンセプトに基づく最新モデル、イクリプス『AVN-SZX04i』の使い勝手をさっそくチェックしてみた。

◆手間いらずの地図データ自動更新

まず、注目すべきは標準装備となった通信ユニットの存在だ。誰もがセンターとの通信が可能となり、センターとローカルの地図データベースを必要に応じて利用できる「ハイブリッド型ナビ」を実現。地図データの自動更新や、センター上の最新データに基づく目的地検索などが、これまで以上に簡単かつスマートに実現できるようになった。これにより、目的地検索でナビ側に未収録の最新施設についても、簡単に探し出せる。一方で、地図データは差分をサーバーから取得して、毎月定期的に自動アップデートされる。地図更新にユーザーの操作がいらないのは見逃せないポイントだ。

更新の流れはこうだ。まず、対象となる地図データがあった場合、ナビを使用中にデータのダウンロードが自動的に行われる。そして、ドライバーがエンジンを切り、ACCもOFFにするとその時点からデータ更新が自動でスタート。既にナビ機能は使われていないので、ナビはデータ更新に専念できるようになり、それに要する時間は「5分程度」(富士通テン)で済むという。これならコンビニや食事に立ち寄っている間にデータ更新が完了する。あとはエンジン再始動時に、ナビ画面にデータが更新されたことを知らせるメッセージが表示されるだけ。つまり、ドライバーが地図のデータ更新をほとんど意識することなく、最新データにアップグレードされているというわけだ。

通信ユニットは目的地検索でもそのメリットをいかんなく発揮する。AVN-SZX04i本体の検索用データは古くなる一方だが、センター側ではこれを2ヵ月に一度以上更新。ナビ本体のメニューに用意された「フリーワード検索」を使うと、オープンしたばかりの施設を目的地に設定できるのだ。しかもWeb検索と同様に、複数のキーワードを入力して検索するAND検索にも対応している。一見すると「50音」検索と同じキーボードに見えるが、このAND検索のための“スペース”ボタンが用意されているのが違う。キーワード入力後、結果が表示されるまでの時間はわずか2、3秒程度。少し考えるような素振りをして答えを出すような感覚だ。今年オープンして話題を呼んだ施設をいくつか探してみたが、すべて候補としてリストアップ。地図データの鮮度をはっきりと実感することができた。

◆駐車場、渋滞状況だってリアルタイム

通信ユニットの搭載は目的地周辺駐車場検索も実現した。これは目的地の約2km手前で、目的地付近にある駐車場を自動的に検索する機能で、5分感覚で更新されるリアルタイム満空情報が色分けしたアイコンで表示されるというものだ。アイコンをクリックすると、料金や駐車可能台数など、それぞれの詳細情報が表示される。この機能を使えば、せっかく目的までスムーズに到着できたのに、駐車場探しで時間がかかった、なんてこともなくなる。まさにリアルタイムで最新情報が得られる通信ユニットが標準で装備されたからこそ実現できた機能と言えるだろう。

渋滞情報にも通信機能は活かされる。利用はオプションとはなるものの、目的地までのVICS情報を最新データとして受信できる「オンデマンドVICS」に対応したのだ。FM多重によるVICSも標準で備わるが、これとの違いは目的地までの旅行時間情報の有無にある。FM多重VICSは、交通状況を地図上に表示するのが基本で、案内ルートに反映されるのは入口閉鎖など交通規制のみ。オンデマンドVICSを使えば、旅行時間情報を基に、目的地までの所要時間を実際の交通状況と照らし合わせて計算される。しかも出発前の駐車場でVICS情報が受信できるわけで、その分だけドライブの計画も立てやすくなるってわけだ。

ところで、様々な機能に使われる通信ユニットは、NTTドコモの3G回線(FOMA)を用いたもので、地図データ更新料も含め、2017年10月末まで無料で使うことができる。ただ、どうして高速タイプのLTEではないのか? との声も出るだろう。富士通テンによれば「3G回線の方が全国各地で安定した受信が期待できる」という。一方で、仮にLTEである場合は「ダウンロードが集中した場合、キャリア側での負担が大きくなる」とのこと。3G回線としたのは、それを避ける狙いもある。

とはいえ、今回試したフリーワード検索で3G回線であることのデメリットは一切感じなかったし、地図データのダウンロードもバックグランドで行われることを踏まえれば、通信速度についての心配は一切無用と判断できるだろう。

◆スマートフォン連携でドライブがより面白く

昨年イクリプスのAVNに採用された、専用アプリとの連携機能「CarafL」も進化を遂げている。専用アプリをダウンロードしたスマホとWi-Fi接続することで会話による検索が可能になる機能で、スマホ上に登場する愛らしい専用キャラクターも相まって人気は高い。今回は、主要機能である目的地検索に加え、「周辺のコンビニエンスストアを表示する」「ルート案内を中止する」「地図表示を3Dにする」などのナビ操作を追加。AV機能では「ラジオを聴く」「SDの音楽を聴く」などがあり、オーディオ操作を話し言葉の指令で行えるようになっている。

この操作を試すために音声入力を行うと、専用キャラが「○○します」と答えた後、早速その操作に入る。AVN-SZX04iの画面上ではまるで透明人間が操作しているかのように順を追って操作が進んでいく。この様子を見て思い出したことがある。そう、Wi-Fi経由でアプリが設定を行う「どこでもサポート」を応用したものなのだ。そのため「CDを再生して」と入力した場合、再生がスタートするまでに若干の時間を要する。しかし、画面が遷移していくので、間があるような印象はない。むしろ、同乗者にとってはその動きが面白さとして感じ取れることもあるだろう。

CarafLを使う楽しみは他にもたくさんある。専用キャラのコスチュームを都道府県ごとに用意していたり、季節に合わせたその時期だけのオリジナルコスチュームが配信されたりもする。キャラにタッチしてその反応を楽しめるのも遊び心いっぱい。また、別売ではあるが、オービス案内もスタートし、オービスがある場所に近づけば画面と音声を使ってその存在を自動的に知らせてもくれる。これらを使いこなすことで、CarafLの魅力はいっそう実感できるはずだ。

9型大画面を備えたイクリプス「SZシリーズ」の最上位モデルとして登場したイクリプスAVN-SZX04i。同じく通信ユニットを付属した7型モデル2機種(AVN-SZ04i/AVN-SZ04iW)と合わせ、誰もが「つながる」メリットを実感できる最先端ナビとして、この秋注目のAVNシリーズとなることは間違いない。

《会田肇》

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