【VW e-up! 試乗】ハイライフハイスタイルな毎日を演出するコンパクトピュアEV…青山尚暉

試乗記 輸入車
VW e-up!
VW e-up! 全 16 枚 拡大写真

フォルクスワーゲン(VW)の電気自動車、『e-up!』は5ナンバーサイズ、4ドア、最高出力60kW/82psの輸入コンパクトEVだ。

内外装は基本的にガソリン車のup!と大きく変わるところはない。EV専用車とは違う、up!のバリエーションのひとつという、電気自動車を特別なものとしない考え方のピュアEVというわけだ。価格はおなじみのシティエマージェンシーブレーキ、クルーズコントロール、リヤパークディスタンスコントロールなどが標準で366万9000円。補助金を使えば300万円前後で買える可能性がある。

基本的にup!といっしょ、とはいえ空気抵抗に優れた前後バンパーや、パワーインジケーター、バッテリー残量計を配するメーター回りのデザイン、ノーマル、ECO、ECO+の3つのモードを持つドライビングプロファイル機能のスイッチ、ブレーキエネルギー回生レベルをD1、D2、D3、およびもっとも回生の強いBポジションの4種類に切り換えられるギヤレクターレバーの機能などはe-up!専用だ。

ドライビングプロファイル機能はノーマルからECOに切り換えることで最高出力がノーマルの60kWから50kWに、ECO+では40kWに制限され、最高速度もそれぞれ130/120/95km/hとなる。ちなみにECO+ではエアコンOFF。航続距離を伸ばすためにもっとも有効なモードである。ただし、アクセルペダルを踏み込み、キックダウンさせればノーマルモードになる。

ギヤセレクターをDポジションに入れてドライビングプロファイルがノーマル状態で走り出せば、予想通りモータートルクによる滑らかで連続的な加速を開始。成人男性3名乗車でも、平坦路ではup!の車格からすれば十分以上の性能を発揮してくれる。

up!を知っている人にとって最大の好感ポイントは、EVだから当たり前とはいえ変速ショックが皆無なこと。素晴らしくスムーズに走る。up!のASGと呼ばれるシングルクラッチのセミATは、上位車種に組み合わされるツインクラッチのDSGとは別物で、初期より改善されているとはいえ、まだまだギクシャク感が拭えないのだ。

e-up!として最大の回生、減速Gを発生させるBポジションに入れたときは、BMW『i3』ほどではないにしても強い減速力を発揮。ブレーキを踏まなくてもメリハリあるスピードコントロールが可能だ。

しかも、重量物のリチウムイオンバッテリーが後席フロア下に配置されているため、車格を超えたしっとり重厚でしなやかな乗り心地を示してくれる。さらにup!でも定評ある操縦安定性は、バッテリーの床下搭載によるさらなる低重心化によって一段と高まっていた。コーナーでは路面に吸いつくような走りを見せ、軽やかで極上にスムーズなパワステの操舵フィールの良さも手伝い、超コンパクトなEVにして爽快で気持ちいい安定感たっぷりの走りが楽しめる。

気になる航続距離、充電時間だが、航続距離はJC08モードで185km(『リーフ』228km、『i-MiEV』120~180km)。実質130~140km程度。充電は200Vの普通充電で8時間。急速充電では30分で80%の充電が可能という。

シティコミューターというキャラクターのe-up!は中短距離の用途が中心になると思われ、それなら実質130~140kmの航続距離で十分(片道65~70km)ではないか。内外装のシンプルでおしゃれなデザインの良さもあって、気軽にカジュアルに乗れる、ハイライフハイスタイルを演出してくれる日常にジャストサイズなEVと言える。

ちなみに後席は身長172cmのボクのドラポジ基準で、膝回りにげんこつ2つ分のスペースがあり、頭上方向も窮屈さがないから、日常の4人乗車も無理なしだ。ドッグフレンドリー度では、大型犬を乗せるにはあまり適さないが(後席に乗せることは可能)、中小型犬であれば、静かで快適すぎるドライブ性能に、わんわん喜んでくれるに違いない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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