【レンジローバー イヴォーク 試乗】9速ATの使用感はジープより上…中村孝仁

試乗記 輸入車
レンジローバー イヴォーク ダイナミック
レンジローバー イヴォーク ダイナミック 全 19 枚 拡大写真

ジャガー・ランドローバー・ジャパンの最量販車種レンジローバー『イヴォーク』に、新たなバリエーション、「ダイナミック」と「オートバイオグラフィー」が追加された。そこで早速新しいダイナミックに試乗してみた。

新たに追加されたダイナミックとオートバイオグラフィーを一言で言えば、ダイナミックは従来のプレステージと同じ価格ながら20インチのタイヤ/ホイールが標準で装備されるよりスポーティーな仕様に。一方のオートバイオグラフィーはプレステージに標準装備を使いした言わば豪華版といったところである。

もっとも、今回試乗したダイナミックもオプションパーツ満載で使用的にはほぼオートバイオグラフィー並の装備が追加されていた。中でもダイナミックモードが追加されたテレインレスポンスはピュア以外のすべてのグレードでオプション設定となる装備だが、切り替えてみると走りの差は顕著で、ダイナミックモードに切り替えるとメーターの照明が白から赤に切り替わることでそれと分かるし、アクセルレスポンスも顕著に変わった。とはいえこのオプション、16万5000円だから考えさせられる部分もある。

今回一番気になっていたのは、イヴォークの装備する9速ATだ。実は今年になって登場したジープ『チェロキー』にも9速ATが装備され、この2社のATを作ったのがZF社で同じ。ところがどうも使い勝手がだいぶ違うというので、乗り比べてみたというわけである。

端的に行って、ジープの方は9速といっても日本の交通状況の中で9速に入ることはまずない。相当なリスクをしょって150km/hぐらいで飛ばそうというなら、9速に入るが100km/hでは7速どまりなのである。

これに対してイヴォークの方は100km/hでもちゃんと9速に入る。その時エンジン回転は1600rpmでしかないから、燃費節約にはもってこいだ。そのままスピードを落としていくと90km/hを切ったあたりで8速にシフトダウンされるので完全に9速を使い切っていると言えよう。

ただし、発進は2速。1速スタートするためには敢えてパドルで1速を選択しない限り入らない。実際1速で発進してみても非常に低いギア比のようで、一般道では無用の長物。つまり本格的オフロードに入ったり、あるいは凄い急坂での発進などには有効なものだ。しかし、オフローダーには必要なギアである。

パドルシフトの使い勝手も良い。それにちゃんとしたマニュアルで、ジープのような半自動マニュアルのようなものではない。また有り難いのはDレンジ9速で走行中に前車を追い越したくて、マニュアルでパドル操作をすると、8速を飛び越えて7速に落ちること。エンジン回転は9速の1600rpmから一気に2200rpmに跳ね上がる。因みに8速の定常走行時は100km/hで1900rpmだ。

2リットルターボユニットは基本、フォードのエコブーストだから、日本では『エクスプローラー』が使っているものと同じ。性能的にはほぼ同じだが最大トルクの発生回転はイヴォークの方が低く1750rpmで発生する。だから、9速から8速の意図してもすぐに最大トルクのカバー範囲なのだが、7速に落とすとやはり加速感は違う。

このエンジン、すこぶるレスポンスが良く軽快に走る。車重もエクスプローラーと比較して200kg強軽いから、その軽快さには少々面喰ってしまった。20インチを標準にした足は、確かに素晴らしいグリップ力を発揮してまるでスポーツカーのように走る。しかし一方で路面からの強い当たりがボディにフィードバックされてしまうことも確か。だから、乗り心地で選ぶなら、恐らく17インチを装着するピュアにとどめを刺すと思う。

というわけで、9速AT比較では文句なくイヴォークに軍配が上がった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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