200万DL突破のYahoo!カーナビ、開発現場は”ユーザーオリエンテッド”の権化だった

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許可を得て開発中の画面を拝見。ハイウェイモードが改良されているようだ
許可を得て開発中の画面を拝見。ハイウェイモードが改良されているようだ 全 7 枚 拡大写真

2014年7月末の登場以来、またたく間にカーナビアプリ人気トップに躍り出て、リリースから3ヶ月あまりで200万ダウンロードを突破した『Yahoo!カーナビ』。無償アプリながら駐車場の満車空車情報、ガソリン価格、VICSなど豊富なリアルタムコンテンツを擁し、“タダだけれど実用性はもう一歩”という無料ナビアプリの既成概念を覆した。

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今回、Yahoo! JAPAN名古屋支社にある開発部署「マップイノベーションセンター」を取材。サービスマネージャー 兵藤安昭氏とリーダーの松田義和氏から、その開発体制について話を聞いた。

◆地図とカーナビを分離した理由

取材したYahoo! JAPAN 名古屋支社は、1フロアにズラリと机が並んでおり、部署ごとのパーティションが一切ない。そして部署名を示す看板も一切ない。広いフロアだが、端に立っても反対側の端にいるデスクの人の顔が見えるほど。開発チームはその一角に位置し、東京本社や大阪支社のスタッフと連携して、開発を行っている。

まず最初に聞いたのは、『Yahoo!地図』とYahoo!カーナビの関係だ。Google Mapsでは、地図とナビゲーションは一体化されているが、Yahoo! JAPANでは逆に独立しており、地図画面も全く違う。兵藤氏は、「多用途に使う『地図』と道案内が主目的の『カーナビ』とは根本的に違うという考えがまずありました。そこで、ドライバーに対してYahoo! JAPANのサービスを触れていただく機会をどうやって作るかと考えたとき、Yahoo!カーナビの企画発端が生まれたのです」と説明する。Yahoo!地図もYahoo!カーナビもマップイノベーションセンターの管轄だが、スタッフは一部のデザイナーを除いてどちらかの担当に固定され、一人が両方の開発をすることはないという。

◆Yahoo! JAPANだからできるリリース前の大規模テスト

ドライブ(またはドライブの下調べをするための)場面におけるYahoo! サービスへのタッチポイントを設けるという企画が立ち上がったはいいが、そのコンセプトはどのように作り上げ、開発初期はどのようにして意思決定を進めたのか。既存に同様のサービスがないため当然ユーザーからの意見や要望はないのだが、Yahoo! JAPANならではの組織力を活かした手法が採用されていた。

その手法とは、5000人あまりを数えるYahoo! JAPANの従業員に対してにリリース前のアプリをテスト的に配布し、意見や要望を募ったことだ。これはおそらく他のアプリベンダーではなかなか真似できない、Yahoo! JAPANだからこそ可能な業だろう。同社では全社員にiPhoneを支給しており、そのメニューにボタンひとつでYahoo!カーナビをダウンロードできるようにして試用を促したという。

ちなみに、初期バージョンのYahoo!カーナビは現在のものとは全く異なり、大規模なデザイン改修を3回経て、現在のスタイルに至ったという。その結果であるシンプルなユーザーインターフェースは、車載ナビを意識して多機能さを狙った他のナビアプリの逆を狙ったようにも見える。

◆バージョンアップはユーザーの声が決める

7月末のリリースという、夏休みの行楽シーズンを狙ったタイミングも功を奏して、Yahoo!カーナビは順調にダウンロードを伸ばしていった。その後もYahoo!カーナビは頻繁なバージョンアップを繰り返しているが、バージョンアップの基本方針としては「ユーザーレビューやアプリの使用ログなどから利用実態や要望を抽出して数値化し、機能追加を検討して実装していくというのが基本」(兵藤氏)だという。とくにアプリのユーザーレビューは毎日細かくチェックしていて、あくまでユーザーと向き合うという姿勢がYahoo! JAPAN流のようだ。作り手が新たな機能を発案してユーザーに提案するといった手法とは異なり、カーナビのような実用アプリではこれが正しい開発姿勢といえる。

しかしこうした手法は、ともするとアプリ開発に一貫性がなくなり、機能ばかりが増えて複雑で使いにくいアプリとなる危険がある。その点について聞いたところ、兵藤氏は「シンプルで使いやすいユーザーインターフェースと、あらゆるユーザーのニーズに応える多機能とは両立が難しく、悩むことしばしばもあります」と打ち明ける。

例えば、最近のバージョンアップで経由地の設定が可能になったが、そのUIについては、経由地を必要としないユーザーのジャマとならないよう悩んだという。たしかに、経由地機能を使わないのであれば、従来と全く同じ操作で目的地設定ができるようになっている。

次の一手はタブレット対応、その先は「使うと得をするアプリ」めざす

Yahoo!カーナビを開発しているマップイノベーションセンターは総勢50人ほどのチームで、その半数あまりが名古屋に在籍している。残りの半数は東京本社と大阪支社だ。松田氏は「各拠点はテレビ会議システムでつながり、近くに置かれる大型モニターで映像が両支社の様子が1日中分かるようになっています。別拠点の誰かと打ち合わせの用事ができたら、画面を見て在籍を確認し、チャットで話しながら開発を進めていきます」と説明してくれた。電話はまず使わないという。

開発環境については、システム開発では一般的なタスク管理ツールを活用している。これからやるべき仕事を細かく分けてチケット。そしてそのチケットを各スタッフで仕事を振り分ける。こうすることでスタッフ全員に、仕事を最適に割り当てることができ、少数に仕事が集中することを防げる。小さなタスクスタイルで仕事を進めていくこの手法なら、最高の効率で仕事ができる。また、「やらなければならない仕事を誰もやっていない」というトラブルも防げるという。ただ、言うは易く、行うはいかにも難しそうな手法であることも確かだ。スタッフのスキルレベルが高いからこそ可能なのだろう。

Yahoo!カーナビは11月12日に200万ダウンロードを突破。Yahoo! JAPANではカーナビの潜在市場は1700万ユーザーと見ているが、その制覇に向けてダウンロードスの推移は極めて順調だという。さらに、この年末の帰省需要を見込んで、タブレット版のリリースもアナウンスしている。

兵藤氏は、「この勢いを持続して、この先は”使うと得をするアプリ””クルマに乗ったら起動したくなるアプリ”を目指して開発を進め、さらなるユーザー獲得を目指します」と意気込む。Google Mapsというライバルの存在はあるが、無料でリアルタイムガソリン価格やVICSが使えるカーナビアプリは他にないだけに、優位性は抜きんでている。マップイノベーションセンターでは、収益化とユーザーベネフィットのさらなる向上を目指して、今日もユーザーの声に耳を傾け、アップデートに向けた熱い議論が続けられている。

《山田 正昭》

《まとめ・構成 北島友和》

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