【ホンダ グレイス 発表】ハイブリッドシステム「i-DCD」の懸念は解消したか

自動車 ニューモデル 新型車
ホンダ グレイス
ホンダ グレイス 全 8 枚 拡大写真

ホンダは12月1日、新型コンパクトセダン『グレイス』を発売した。

グレイスはコンパクトハッチバック『フィット』をベースに東南アジア~インド市場向けのアジアンモデルとして開発された『シティ』の国内版。海外ではガソリン、ディーゼルなどコンベンショナルなエンジンを搭載するが、日本向けは1.5リットル+1モーターのハイブリッドパワートレインのみの、ハイブリッド専用車として売られる。

外寸は全長4440×全幅1695×全高1460mmと、5ナンバーサイズに収まる。日本では5ナンバーセダンのマーケットは縮小の一途を辿っており、市場環境は決してよくないが、使いやすいボディサイズであることと人気の高いハイブリッドカーであるということなど、スペック的にはマーケットへのアピアランスはそれなりにありそうである。

そのグレイスのハイブリッドシステム「i-DCD」は、基本的にフィットと同一。エンジンは1.5リットルSOHCで、圧縮比に対して膨張比を大きく取ることで空気の吸排気にともなうエネルギー損失を減らすアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)方式。ピーク熱効率は39%弱で、現時点ではトップランナーである。ハイブリッド変速機は7速DCT(デュアルクラッチ変速機)。エンジン出力110ps、モーター出力29psで、システム全体ではその合算値に近い137ps。

ユーザーにとって気になりそうなのは、この「i-DCD」が昨年秋のフィット発売以降、リコールを連発したことから、本当に大丈夫なのかという点だ。

先般、グレイスとエンジン違いで変速機は同じというSUVの『ヴェゼル』の最後のリコール対策済み車を600kmほど運転したときは、以前は顕著だったギクシャク感が相当改善され、また当初はこんなフィーリングでDCTにする意味があるのかと思われるくらいなまくらだった変速フィールも良くなり、DCTの持ち味である切れ味が出ていた。4度も5度もリコールを繰り返したものについて6度目はないでしょうなどと言い切れるものではないが、懸念は大きく後退したとみることはできるだろう。

JC08モード走行時の燃費は34.4km/リットルと、最大の競合モデルになるであろうトヨタ『カローラ アクシオ』のハイブリッドモデルの同33km/リットルをやや上回る。またJC08モード計測の重量区分を合わせてみるとフィットハイブリッドの33.6km/リットルよりも良い数値で、この1年で制御や機構に細かい改良が加えられている可能性もある。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. 「見れば見るほど味が出てくる」新型日産『リーフ』のエクステリアがSNSで話題に
  3. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  4. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  5. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る