【ミシュラン X One】着実に浸透するトラック用シングルタイヤ…鍵を握るのはアジア市場か

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ミシュラン X One新車納入報告会
ミシュラン X One新車納入報告会 全 9 枚 拡大写真

12月4日、ミシュランのトラック用シングルタイヤ「X One」装着車両の新車納入報告会が開催された。出席したミシュランタイヤ 執行役員 高橋敬明氏に、トラック用シングルタイヤの国内市場や今後の展開などを聞いた。

ミシュランタイヤは、トラック用のダブルタイヤをシングル化する幅広のタイヤX Oneを2007年から国内市場に投入している。日本ではまだ装着率は高くないが、2012年ごろからシングルタイヤの市場は着実に広がっているという。北米などでは、メンテナンス性や経済性の高さから長距離トラックなどで半ば常識となっている幅広のシングルタイヤは、なぜ日本では浸透が遅れているのだろうか。

まず、欧米の場合、大陸を横断するような長距離輸送が多く、またトラック、トレーラーの車輪数も多い。シングルタイヤ化によるタイヤ代、メンテナンスコスト、燃費向上などの効果が出やすいという事情もある。

軽量化による燃費効果、積載量アップ、メンテナンスコストなど経済性については、国や車両による違いは本質的にはないはずだ。ミシュランタイヤでは、日本でポピュラーな後軸2輪の単車(牽引なし)のトラックでもシングル化するだけで後輪のタイヤを半分に減らすことができ、国内市場でも十分効果はだせると見ている。実際、近年着実に採用が増えている背景には、「採用したユーザーが効果を実感したから」(高橋氏)という理由があるという。

市場への浸透スピードが遅いのは、国産トラックのサイズや車種の豊富さも関係ある。高橋氏によれば、欧米の大型トラック・トレーラーのタイヤサイズの種類が3種類程度とあまり多くなく、量産や商品ラインナップがしやすいが、日本のトラックは軽トラックから大型トレーラーまでタイヤサイズが非常に多い。

ミシュランタイヤがX Oneのサイズを455/55R22.5に設定したのは、国内トラック、トレーラーのダブルタイヤで採用の多い11R22.5 14PRとの互換性(ハブなど変更なしで装着可能)を考えてのことだ。このサイズでの採用を増やし認知が進めば、国内シングルタイヤ市場を先行できる。そのうえでライトトラック市場へと広げていきたい考えだ。

このとき鍵を握るのはアジア市場ではないかと高橋氏は話す。国内市場でシェアを伸ばしたとしても日本のトラック向けのサイズは、グローバルでは狭い市場ということになる。しかし、国産トラックが多く輸出されている東南アジアなど新興国市場が拡大すれば、国産トラックサイズのシングルタイヤ市場も立ち上がるかもしれない。

一部のトラックメーカーでは、ディーラー交換で取り扱うようになってきているというミシュランのX One。今後の展開に注目したい。

《中尾真二》

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