【ホンダ N-BOXスラッシュ 発表】専用オーディオに日本の価値観が潜む

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ホンダ N-BOXスラッシュ
ホンダ N-BOXスラッシュ 全 16 枚 拡大写真

ホンダの新型軽自動車『N-BOXスラッシュ』の特徴のひとつは、軽自動車としては例がないほどオーディオに注力していることだ。

「軽自動車として、ここまでしっかりとオーディオに力を入れたのは、初めてですね」とオーディオ開発を担当したホンダの山本隆則氏は言う。

「今回の開発で一番印象に残っているのは、このバックロードホーン型サブウーファーで、このクルマで新規に作ったシステムです。やはり軽自動車はスペースがない。最初はリアの荷室のタイヤスペースも考えたんですけれど、それでは十分な低域が出ない。現行のN-BOXをじっくり見て、どこに置けるところがあるだろう? と探しました」と山本氏。

重低音を響かせるには、大きなスピーカーだけでなく、それを増幅させるエンクロージャー(空気室)の存在が不可欠だ。そのスペース不足を解決したのが、スピーカー背面にメガホンを取り付けるバックロードホーンという手法であったのだ。

「軽自動車には無理だと言われるのを、ずいぶんとごねていましたら、とあるメーカーさんが提案してくれました。それがバックロードホーン。バックロードホーンって、ずいぶん懐かしいなと思ったんですね。それでブランド名がフォステックス。フォステックスは自作スピーカーの大手です。一昔前に日本でバックロードホーンが流行ったんです。スピーカーの裏側にメガホンをつけると、比較的小さなスピーカーと比較的パワーのないアンプでも、重低音を出せる。いかにも日本的ですよね。アメリカであれば、でっかいスピーカーとでっかいアンプで低音を出せばいいじゃないかとなる。一方、日本ではバックホーンが流行ったのは、その背景に軽自動車にも通じるような、日本人の感覚がある。それを軽自動車に使うんだということで私も感激して、ぜひやろうとなりました」とクルマ全体の開発責任者である浅木氏。

実際にバックホーン型サブウーファーで行くと決まった後も苦労があったという。

「取り付け場所を見つけた後もスペースが限られています。開発する人間としては、できるだけ大きなホーンをつけたい。ただ、クルマのパッケージングで言いますと、そこまで大きなスペースは取れないと。あのホーンの大きさも、何回も何回も設計のメンバーやデザインのメンバーとやり直しさせてもらいまして、なんとか、あの大きさで開発できました」とは山本氏だ。

そうしてできた低音用スピーカーにあわせるように、中音域、高音域のスピーカーもこだわった。中音域はケブラーコーン、高音域はアルミドームツイーターという高剛性なスピーカーの振動板を採用。その剛性の高い振動板を動かすための磁石も強力なものを採用。クリアで切れのあるサウンドを目指した。

また、ハイパワーなサウンドを実現させるために専用のパワーアンプを開発。ナビ・オーディオ側になるプリアンプも特別設計。さらにプリアンプとパワーアンプをつなぐ接続シールドは、ノイズの少ないバランス方式を採用。そして、車体側にはデッドニングキットをオプションで用意した。車体から、プリアンプ、シールド、パワーアンプ、スピーカーまでトータルでサウンドにこだわった。

「ここまでクルマのチーム全体が同じ方向を向いてできたのは珍しい。全体で、いい音を作ろう! というのに向かってやったからこそ、ここまでのものができたのかなと思います。ぜひ一度、音を聞いてもらいたいですね」と山本氏は自信をのぞかせた。

《鈴木ケンイチ》

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