【オートモーティブワールド15】自動運転の実現に必要な「3つの柱」のコラボレーション

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スヴェン・A・ベイカーによる基調講演(オートモーティブワールド2015)
スヴェン・A・ベイカーによる基調講演(オートモーティブワールド2015) 全 10 枚 拡大写真

1月14日に開幕したオートモーティブワールド2015では、「コネクティッド・カー」にフォーカスしたセミナーや基調講演が開催されている。開発者としてVWやBMWでつとめ、現在はスタンフォード大学で自動車の支援システムや持続可能なモビリティについて研究するスヴェン・A・ベイカー氏が15日、基調講演に登壇。注目の話題である「自動運転」の今と課題について語った。

ベイカー氏は、VWやBMWで自動車のダイナミクス分野やパワートレイン開発に関わってきた。現在はスタンフォード大学自動車研究センター(CARS)所長をつとめ、自動車メーカーやサプライヤーなど約30社と協力し自動車業界の調査や教育のほか、次世代モビリティの実現に向けビジネス、開発両方の視点から提言をおこなっている。

「自動運転の異なる道筋」と題した基調講演。まずスタンフォード大学のあるシリコンバレーを例にあげ、あらゆるITプレイヤー、自動車メーカーが軒を連ね、連携しやすい環境であること、またそれが自動運転の実現においては必要な要素であると述べた。

自動運転がなぜ、価値があるのか。そこには「安全」「効率」「モビリティの拡大」「便利さ」という4つの原動力があるとベイカー氏は語る。効率とはエネルギー問題だけでなく、時間の効率化も含まれる。また、世界的に高齢化が進む中、高齢者が移動できる仕組みとして自動運転が注目されていることを紹介した。

自動運転に関わるプレイヤーの立ち位置、ビジョンは3つある、とベイカー氏は語る。その3つの柱とは「Evolution(進化)」「Transformation(変容)」「Revolution(変革)」で、それぞれをプレイヤーに置きかえると、既存の自動車の新たな価値として自動運転を付加したい自動車メーカー(進化)、公共交通とモビリティの融合など自動運転だけにとらわれない移動を提案するもの(変容)、そしてGoogleやテスラといった自動車の枠に捕われない全く新しい発想を軸とした新規参入プレイヤー(変革)という異なる道筋が存在するとした。

それぞれに、安全強化や利便性の提供、市場拡大やデータ収集、新規ビジネスの創出といったねらいがあるが、これらは相反するものではなく、それぞれの強みを活かしコラボレーションすることで、道筋はひとつになり自動運転の早期実現につながるという。具体的には自動車メーカーが持つ車両テスト環境やサービス、IT企業がもつAIやマッピング技術、そして新規参入組によるイノベーティブな発想、技術、新しいビジネスモデルや歴史がないからこその怖いものなさ、などが挙げられる。

一方で、大きな脅威としては、短距離間で利用されるカーシェアなどの代替サービスや、そもそも個人所有の自動車に価値がないと考えられてしまうこと、さらに、消費者から安全に対する疑問をもたれてしまう可能性などを指摘。こうした脅威に立ち向かうために自動車メーカーは、新規参入と対立するのではなく、手を差し伸べ合うことが重要であるとした。

《宮崎壮人》

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