【オートモーティブワールド15】日産とNASA、自動運転実現に向けたパートナーシップの意義とは

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日産自動車総合研究所所長、アライアンスグローバルダイレクター 土井三浩氏
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1月14日、東京ビッグサイトにて開催されたオートモーティブワールド2015の専門セミナー「ここまできた!自動運転の最新技術」の中で、日産自動車総合研究所所長、アライアンスグローバルダイレクターの土井三浩氏がNASAとのパートナーシップの意義について言及した。

講演タイトルは「“考えるクルマ”と交通社会の未来」。土井氏は日産自動車にて自動車の振動・騒音ITSの研究、先行技術開発の戦略責任者を経て2010年に小型車の商品企画を統括。2012年からはルノーのリサーチダイレクターを務め昨年4月より現職。

土井氏は、「センシング、知能もさながら、さらにこれを外に繋いでこそ自動運転は実現するが、センシングや知能の領域では比較的準備ができつつある一方コネクティビティの領域での課題を克服するには現在の自動車会社が“持ち合わせていない技術”も学ぶ必要がある」という。このような観点からも1月9日に発表されたNASAとのパートナーシップは意義深いと語る。

◆NASAのテレオペレーション、セキュリティシステムに期待高まる

「自動運転と、現在の運転支援装置の決定的な違いは、自車位置と自分のパスを自分で決めるか、それとも周りの状況に対応してリアクティブに決めるか、という点にある。では自分でパスを決めていくためには何が必要か。それは自分の世界地図を持っていることと、その地図の中であらゆる状況を把握してパスの決定をしていくことです。そのためのコネクティビティをどう確保するか、すなわち自車位置把握のためのマップと、そのマップがきちんとアップデートされていかなければならない」と自動運転の実現のための今後の課題の一部を土井氏は説明する。

ではコネクティビティを確保しクルマの意思決定を実現させるにはどうすればよいのか。ここで土井氏は1月9日に発表されたNASAとの共同開発に言及した。

「彼ら(NASA)いわく、自動運転するだけだったら我々の方が技術があると言います。なぜなら彼らが探査の際に自動運転をしている火星には、歩行者も車線もないし地球ほどにたくさん移動体はないから。しかし逆に我々にはNASAのような高度な(地球から火星への)テレオペレーション技術や高度なレベルでのセキュリティシステムの中でものを動かすことはできません。

こういった技術は自動車会社がいま持っていないところでありながら、自動運転の実現のために揃わないといけないところです。だから今後は今までにない領域でのコンピテンシーを、自動車会社は取り入れていくことが必要となるだろう」

◆幼少期に自動運転を夢見た世代

その行きつく先には単なる「安全」に留まらない夢があるのだという。

「NASAのテレオペレーションじゃないですけれど、交通全体としてコントロールすることも視野に入れています。新幹線並みの安全性・精度・密度の三つを達成する方向に向かってクルマというモビリティを進化させたい」

「クルマにしか持ち得ない“プライベートさ”“ドアツードアで移動できること”などのメリットを生かしながら新幹線並みの安全性を達成できるような技術のコアであるという点で自動運転が非常に重要と言える。我々やいまご来場してくださっている皆さんの年代って、子どもの頃から自動運転という夢をみながら大人になったのではないでしょうか。もちろんまだ出来たというには程遠く、しなければならないことも沢山あるけれど、あのころの夢に向かって確実に進んでいるといえると思います」

《北原 梨津子》

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