【ダイハツ ムーヴカスタム 試乗】ガラパゴスの王者…中村孝仁

試乗記 国産車
ダイハツ ムーヴカスタム RS ハイパーSA
ダイハツ ムーヴカスタム RS ハイパーSA 全 13 枚 拡大写真

軽自動車というジャンルは日本固有のものである。ボディサイズとエンジンキャパシティーが制限され、パフォーマンスは自主規制。なんとなく歪な車両が出来上がっている。

【画像全13枚】

本来はもう少し排気量を上げて、ボディも横方向に少し大きくしてやれば、ヨーロッパの側面衝突安全性基準もクリアできて世界的商品になると思うのだが、それだと小型車と差別化が難しくなって軽自動車というジャンルの存在意義がなくなるので、敢えて現在のサイズを守っている節がある。

とりわけターボモデルの性能は、特に最高出力の点では本来もう少し出せても良いはずだが、そこを自主規制という形で制限をかけているから、何となくもったいない気もするわけだ。何も、ダイハツ・『ムーヴカスタム』だけに限ったことではないのだが、たまたま出てきたタイミングでこうした話になってしまった。いずれにしてもこのサイズにこの性能、そしてこの空間を作り出している。軽自動車はまさに日本というガラパゴスの産物。そしてターボをつけて64psを発するモデルは、まさしくガラパゴスの王者なのである。

『ムーヴ』とムーヴカスタムの違い。それは外見的には前後の意匠の違いにあるわけだが、カスタムを標榜するだけに2トーンの塗装も用意され、スポーティーである以上にお洒落な印象はこちらの方が強い。さらにインテリアではメーター内にTFTのマルチインフォメーションディスプレイを装備して、車両情報を読み取れる。このあたりもより車を楽しむためのアイデアが盛り込まれている。

ムーヴ同様、プラットフォームは補強が入れられたものが使われていて、増大したパワーとトルクに対しても全く問題なく対応している。 知人のジャーナリストとムーヴ、ムーヴカスタムを同時に借りて乗り比べをしてみた。確かにムーブについていくには、カスタムのアクセル開度は5割も開けてやれば十分に追従して行ける。これが逆だと全開でパワーモードを使う必要が出てくるから、性能差としてはかなりのものだと感じた。

扁平率の低いタイヤを装着しているいるが、乗り心地の差異はそれほど感じない。ただし、14インチから15インチにアップされ、接地面も155から165に増えていることもあって、ステアリングの応答性はこちらの方が良く、ステアリング切り始めのボディの応答性はムーブカスタムの方が上だ。性能以上にこの運動性の良さがスポーティーと感じさせてくれる。

というわけで走ってみれば当然ながらパワフルだし面白いし、運動性能もこちらが良い。でも、敢えて積極的にこちらを薦めるかといえば、個人的にはむしろムーヴをお勧めしたい。やはりNAの方がこのボディサイズには適正な動力性能に思えるからである。勿論物理的に軽自動車でないと車庫に入らず、その中で高性能なクルマをという人もいるだろうから、その場合はムーブカスタムのターボ仕様がいいと思う。何故なら、ムーヴにもターボ仕様はあるが、タイヤはNAと同グレード。これだと本来の面白いドライビングには不向きと思えるからだ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★
おすすめ度 ★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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