【マツダ アテンザ 試乗】積極的に曲がる4WD、2年での全面変更を評価したい…森口将之

試乗記 国産車
マツダ アテンザ 改良新型
マツダ アテンザ 改良新型 全 32 枚 拡大写真

同じDセグメントの輸入セダンやワゴンに乗るたびに、「『アテンザ』でいいじゃん」という気持ちを抱いていたのは僕だけではなかった。旧型はBMW『3シリーズ』などの輸入車と比較して買うユーザーが半分を占めたという。

想定外の評価に驚いた開発陣が、輸入車とガチで勝負できるよう仕立てたのが新型だ。たしかに試乗会で旧型との乗り比べると、全般的に大人になっていた。

グラマラスなボディに対し、"ショーユ"顔っぽい雰囲気もしたフロントマスクは、グリルをなぞってヘッドランプに伸びるシグネチャーウイングを強調するなどして、西洋人を思わせるメリハリのある顔つきになった。それ以上に好感を抱いたのはインテリアだ。

旧型はインパネが『CX-5』と共通で、モニターディスプレイを収めるセンターが妙に盛り上がっていて気になったし、色気のあるエクステリアに対して実直すぎた。今にして思えば目をつぶりたくなる部分だった。

それが新型では一新。たった2年で全面変更した決断力をまず評価したい。走りの良さをアピールするコクピット感覚と、マツダのフラッグシップにふさわしい広がりを両立した、アテンザの立ち位置にふさわしいデザインだ。

カラーコーディネイトにも惹かれた。Lパッケージに用意されるブラックレザーが、センターコンソールやドアトリムの一部をブラウンとしているのだ。日本車でもここまで渋い色調ができるんだと嬉しくなった。

シートの座り心地はしっとり。デビュー当初は満足していた旧型のそれは、あらためて乗るとペタッとしていた。乗り心地もしなやかになっていて、以前は気になった細かい上下動が巧妙に抑え込まれ、落ち着いた時間を届けてくれる。とくにホイールベースが長く、荷重変化にあまり気を遣わないですむセダンは、素晴らしいレベルにあった。

4WDが選べるようになったことも新型のトピック。メカは基本的にCX-5と同じだが、こちらも当初の想定になかったのでフロアを大改造したという。でもノイズが気になったりすることはなく、むしろがっしりしたフロア剛性が印象に残った。これもしなやかな乗り心地に寄与しているだろう。

ハンドリングは旧型と比べると、ディーゼル車のノーズの重さが気にならなくなった。だから2WDでも十分と思えたけれど、必要に応じて後輪にもトルクを配分する4WDは、さらに積極的にコーナーを曲がっていけることも確認できた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  2. 世界最高級ピックアップトラック誕生!? トヨタ『センチュリーピックアップ』の可能性
  3. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  4. 日産 リーフ 新型を発表、第3世代は航続600km超のクロスオーバーEV
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る