【CES15】「ディスプレイがミラー代わりになる日は近い」JVCケンウッド 河原会長

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ヘッドアップディスプレイや電子メーター、フルHDカメラを組み合わせ、ドライバーをサポートする
ヘッドアップディスプレイや電子メーター、フルHDカメラを組み合わせ、ドライバーをサポートする 全 13 枚 拡大写真

「CES2015」では、車両の周囲をディスプレイで表示してアシストするADAS技術を各社が出展。そんな会場で目を引いたのが、マクラーレン『650Sスパイダー』に搭載した先進のデジタルコックピットのコンセプトモデルを発表したJVCケンウッドだ。代表取締役会長 河原晴郎氏に話を聞いた。

このデジタルコックピットとは、JVCケンウッドが開発を進めてきた光学技術を用いて完成したもので、ヘッドアップディスプレイや電子メーター、車載HDカメラなどを組み合わせた「革新的先進運転支援システム(i-ADAS)」のこと。これまで、車載されるディスプレイ技術はカーエンタテイメントの延長線上にあるものと捉えられがちだった。発表会に出席したJVCケンウッドの代表取締役会長 河原春郎氏は、この点についてきっぱりと否定する。

「(デジタルコックピットは)カーエンタテイメントとはまったく違う次元で開発した。真ん中のクラスターにはナビゲーションの映像が表示され、その時はメーター機能が自動的に小さくなる。その場面に応じてあらゆる情報が効率よくドライバーに伝わってくる。今後はこの方向にクルマは間違いなく向かっていく」(河原氏)

今回のCES2015では他社からも相次いで同様な出展が行われたが、JVCケンウッドはここに自社の光学技術をふんだんに取り入れていることに特徴がある。河原氏はこの点について「インフォテイメントはどちらかといえばIT系の技術だが、デジタルコックピットは光学系の技術を情報システムに活用したのが他社との違いだ」と述べた。

同社が出展したデジタルコックピットは、フロントウィンドウに安全運転支援情報などを表示する「高精細ヘッドアップディスプレイ」をはじめ、多彩なディスプレイ表示を行う「次世代電子メーター」、そして運転中の視野内にミラー品質でライブ映像を提供する「高品位・高画質電子ミラー」などで構成される。これらはすべて同社が手掛ける「世界ナンバー2のビデオカメラ技術によって培われた光学技術が活かされている」のだという。

デジタルコックピットで使われるディスプレイはすべてHD(1280×720ドット)画質のもので、ここにフルHD(1920×1080ドット)対応のビデオカメラ技術が組み合わせる。ディスプレイで発生する遅延にも気を配っており、河原氏はこの点についても「スピードのあるクルマでは一瞬で情報が得られなければならない。そのためには遅延のない最適化した表示が必要だが、ここに培って来た自社の光学技術が役立った」と話す。

ドライブ中には逆光など様々な悪条件がつきまとうが、この対策は施されているのだろうか。「(JVCケンウッドは)2年前にCMOSセンサーの会社を買収した。そこで開発した明るい部分と暗い部分を同時に制御できる技術が役立った。世の中では後処理で対応することも多いが、それでは表示までに遅延が発生してしまう。光を取り込むセンサー部分で処理することで優位性が発揮できる」のだという。

デジタルコックピットではカメラがバックミラーの代わりを務めている。ミラー自体をなくすことに法規上の問題はないのだろうか。「現時点でミラーの部分については世界中で取り外していいというレギュレーションにはなっていない。しかし、欧州ではディスプレイがミラーの代わりを果たす時期が間もなく到来すると見ている。一方で、日本とアメリカは遅れそうだ」(河原氏)

こうしたデジタルコックピットの今後の見通しはどうなのか。「従来の情報系が少しずつ電子化されていくのが一つの流れになっていく。出展したマクラーレンのようなスーパーカーが先導役を果たし、そこから商用ベースとして大衆車にまで展開されるようになっていくだろう。過去にエアコンは世に広く普及するまでに約10年かかったが、この技術も同じ道を歩んでいくと思う。クルマには目で直接視認できない部分が多く、それをサポートする意味でも果たす役割は大きい」(河原氏)

今回の出展に際してマクラーレン側はどう感じていたのか。河原氏によれば「コンセプトにすぐに賛同してくれ、今回のデモンストレーションにつながった。コックピット周囲のデザインもJVCケンウッドとマクラーレンが共同で行っている。マクラーレン自身が(市販車に)いつから展開するかはわからないが、近い将来搭載が可能になるのではないかと思ってる」と将来への期待を寄せた。

《会田肇》

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