【マツダ ロードスター プロトタイプ 試乗】人馬一体は継承されたか…鈴木ケンイチ

試乗記 国産車
マツダ ロードスター プロトタイプ
マツダ ロードスター プロトタイプ 全 9 枚 拡大写真

最も大切なのは性能ではなく人馬一体のフィーリング

6月に発売が予定されている4代目マツダ『ロードスター』。馬力などのスペック等は伏せられていたが、その貴重なプロトタイプのハンドルを握ることができた。簡単ではあるが、そのインプレッションを紹介したい。

まず、最も重要なのは、ロードスターらしさである“人馬一体感”があるかどうかだ。しかし、その疑問・不安は杞憂であった。適正なドライビングポジションや視界の良さも手伝って、クルマは面白いようにドライバーの意思通りに動く。そのうちにクルマを操作しているのではなく、自分自身が走っているような気分になってくる。しかも、運動能力がとびきりあがった状態だ。これこそが、歴代ロードスターがファンを集めてきた魅力。NDロードスターの走りは、間違いなく過去のロードスターの延長にあるものであった。

◆新型ロードスターが身につけた新たな魅力

その上で、過去のロードスターよりも勝っている点をいくつも発見できた。

最初に気づいたのが視界の良さだ。Aピラーの位置が旧型よりも手前に移動しているため、コーナーの先が見やすい。さらに左右のフェンダーの隆起がウインドウ越しに見ることができ、そのピークの下にフロント・タイヤがある。つまり、いつでもフロント・タイヤの位置を視界の内におさめて運転することができる。タイヤの位置を把握できれば、精密な運転が容易になる。これは大きな美点だ。

続いてはブレーキだ。正確には、ブレーキング時の姿勢の良さと言っていいだろう。ハードブレーキング時の安定性が驚くほど高い。前のめりになって後輪が浮き上がって左右どちらかに流れそうになる気配がみじんもない。まるで沈み込むようなブレーキング。その安心感は素晴らしいものであった。

もうひとつ嬉しいのがハイギヤード化だ。6速、時速100kmの時点でタコメーターに目をやれば2500rpm。ソフトトップの遮音性も高まっているのだろう、ロードノイズの音量も従来よりも抑えられているようだ。低いウェストラインのおかげで、窓に肘をつくこともできる。ゆったりと走るときの快適性は確実に高まっていた。

エンジンのスペックは公開されなかったが、フィーリング的にはNB6よりも若干パワフルだが、NCほどではない”という印象。ただし、トルクの頭打ち感がなくレッドゾーンである7500rpmまで加速感を維持する。意外にサーキットでのタイムも悪くはないのではないだろうか。

ハンドリングに関しては、路面のミューが小さく、しかも貴重なプロトタイプということで、限界まで攻めることはできなかった。ただし、その限界はかなり高いようだ。NAやNBであれば、オーバーの挙動が出そうなシチュエーションでも、ひたすらにニュートラル。この先は、サーキットなどで試してみたいものだ。

ロードスターとして、最も重要である「人馬一体」のフィーリングを備えつつ、走りの熟成度をさらに高めた。それがNDロードスターのプロトタイプの走りであった。量産モデルのハンドルを握るのが楽しみだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

鈴木ケンイチ|モータージャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材、ドライブ企画まで幅広く行う。いわば全方位的に好奇心のおもむくまま。プライベートでは草レースなどモータースポーツを楽しむ。現在の愛車はマツダ・ロードスター(NB6)。過去にNAやNB NR-Aなどロードスターを乗り継いできた。ロードスター・パーティレースにも参戦経験あり。

《鈴木ケンイチ》

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