【ダイハツ ムーブ 試乗】厚手の絨毯が敷かれているような乗り心地のよさ…岩貞るみこ

試乗記 国産車
ダイハツ ムーブ X SA
ダイハツ ムーブ X SA 全 24 枚 拡大写真

昨年、ついに販売台数の4割を超えた軽自動車である。つまり、乗用車から軽自動車へと乗り換えるダウンサイザーが急増中で、軽自動車としても取りこぼさないよう奮闘しているというわけだ。

そしてまさにその層を狙った『ムーヴ』である。試乗車は「X SA」。今回のムーヴは本気だ。これまでの軽自動車は、ダウンサイザー対策と言いつつも、やってもデザインとか、インテリアの質感とか、ハンドルやシフトレバーの操作感というところで止まっていた。しかし、ついに根幹とも言える乗り心地に着手してきたのである。ボディ、サスペンションに切り込んできたわけだ。

その本気度は乗った瞬間、直球ど真ん中で伝わってくる。10メートル、走っただけですぐにわかる乗り心地のよさ。ええ、それは私のような雑な運転をするドライバーにですら、目を見開いちゃうくらいのわかりやすさなのである。

路面のざらざらがタイヤに当たるその感触がやわらかく、じわりと上手に衝撃を吸収していく。道路の上に、厚手の絨毯が敷かれているような感じだ。これまでの軽自動車では考えられなかったしなやかさ。かといって、クルマ全体の動きが"ふにゃふにゃ"しているわけでもない。逆にしっかりと前後左右の揺れは抑えられ、しかも、居住スペースそのものは、四角い箱が保たれている剛性があるのだ。

硬さとやわらかさ。力を逃がすところと受け止めるところ。この小さいクルマのなかでそのバランスが上手に役割分担され、それぞれしっかり活躍しているのである。ムーヴ、こんなに乗り心地よくなっちゃって。そしてこのボディ剛性やサスペンション等々は、今後、すべてのダイハツ車に展開されていくというから頼もしい。

褒めすぎるのも悔しいので、ネガティブも少し。「ドラポジは改善しました」という割には、やはりシート前後をペダルで合わせるとハンドルが遠いのが気になるところ。さらに、CVTゆえ、エンジン音がまだちょっと大きめというのも改善してもらいたい部分ではある。けれど、やはりもどってこの足この乗り心地。ムーヴの進化、恐るべしである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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