2050年までに化石燃料からの脱却をめざすデンマーク…はたして日本は?

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スマートエナジー研究所ファウンダー・チーフコンサルタント 中村良道氏
スマートエナジー研究所ファウンダー・チーフコンサルタント 中村良道氏 全 6 枚 拡大写真

 1月28日から30日に東京ビッグサイトで開催された「新電力EXPO」。29日には、スマートエナジー研究所ファウンダー・チーフコンサルタントを務める中村良道氏による「需要家再度からの新電力サービス」と題したセミナーが行われた。

 一般に電力事業の自由化によって需要家(一般世帯を含む電力の消費者)は、供給側の競争により安い電力会社(小売り会社)との契約が可能になると言われている。だが、中村氏は、「新電力サービスの意義やメリットはそれだけではない」とし、「新電力サービスは、イノベーションとリフレーミングによって、新しい社会、ビジネス、都市をデザインする」と説明を行った。

 なかでも、デンマークは2050年までに化石燃料からの脱却を目指しており、CO2を削減しながらもGDPの成長も維持しているという。中村氏は、その施策のひとつとして、排熱を利用した地域暖房システムを挙げ、「デンマークでは、ごみ焼却場や火力発電所の排熱を利用して周辺地域の集中暖房を行っている。これによってエネルギーコスト、需用電力の削減を実現している」と解説した。

■消費者と供給側の両者にメリットが生まれる

 このようなアプローチに立てば、「エネルギーにまつわる社会問題もビジネスに転換することができる」(中村氏)とし、そのひとつが新電力サービスだという。新電力サービスによって需要家は、既存の送電インフラ(系統電力)からの電力に加え、太陽光など再生可能エネルギーも利用しやすくなる。加えて、燃料電池や蓄電池によって複数ソースの電力を効率よく安定的に利用することもできる。

 需要家にこのような設備が整うと、ピーク時は蓄電池など貯めておいた電力を利用したり、別系統からの電力を使うことができる。これによって供給側は全体のピーク電力に対応する発電能力やリソースを持たずに済む。一般に平均電力消費量は、ピーク時の最大消費電力の20%程度と言われている。つまり、発電所はピーク電力に対応するため、80%もの余分な発電能力を維持しなければならない。この無駄の平準化が可能になり、供給側にもメリットがある。なお、電力供給の制御はスマートメーターや各種のセンサー網を利用し、クラウドにデータを集約して、需要予測、送電の切り替えを行う。

 社会のエネルギーにおいて、多様な電源を持てるようになれば、特定エネルギーへの依存度が低くなり、災害、経済情勢、国際情勢等のリスクヘッジ、エネルギーインフラの効率化による社会コストを減らし、ひいてはCO2削減にもつながる。新しい電源リソースに関しては、技術革新を起点とした新しい市場やビジネスを創出するとも言われている。

 このような制御を可能にするには、発電事業の自由化に加え、送電網にも多様なエネルギーソースからの電力をやりとりできるようにする必要がある。現在は、電力の安定供給や停電対策など品質維持の面から、新しいエネルギーリソースの送電網への接続は制限されているが、2016年にはこれも緩和される予定だ。スマートグリッドや新電力サービスによる恩恵を、全国に一般家庭でも受けられるようになると期待されている。

【新電力EXPO2015】料金だけではない消費者からみた新電力のメリット

《中尾真二@RBB TODAY》

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