【マツダ CX-3 プロトタイプ 公開】魂動デザインの“表現の幅”を魅せる…松田チーフデザイナー

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マツダ CX-3 プロトタイプ
マツダ CX-3 プロトタイプ 全 8 枚 拡大写真

『CX-5』や『アテンザ』から始まったマツダの「魂動のデザイン」。そこで目指しているのは、どこにどんなラインを入れるか…といったことではない。表現したいのは「生命感のある動き」。海の波や砂漠の風紋といった自然界にあるダイナミックさではなく、命あるものが躍動するイメージを各車種でそれぞれ探求している。

逆に言えば、「生命感のある動き」をどう表現するか…には当然、幅がある。だからアテンザ、アクセラ、デミオを見ても、「同じデザインの大中小」ではない。その幅をさらに広げる役割を担うのが、実は新型『ロードスター』と今回のCX-3だ。CX-3の松田陽一チーフデザイナーが、こう説明する。

「生命感の幅として、CX-3で狙ったのは研ぎ澄ませた表現。魂動で表現し得るシャープで凛としたデザインの限界を、CX-3で創ろうと考えました」(松田氏)。

CX-3の対極に位置するのが、「妖艶」を極めたロードスターだ。周囲の景色がボディに映り込み、それがクルマの動きと共にダイナミックに変化して、セクシーな艶やかさを見せるところにロードスターのデザインの想いがある。

松田「表現の幅を『”艶”と”凛”のブックエンド』と定義しています。”艶”のブックエンドがロードスター、”凛”のブックエンドがCX-3。ひとつのコンセプトやデザイン哲学を貫いても、どれも同じデザインになるわけではない。表現の幅を持てるのだということを、あらためて製品で示したいという気持ちがあります」(松田氏)。

シャープで凛としたイメージと生命感は微妙な関係だ。シャープなカタチを追求すると、生き物から遠ざかる。凛としたイメージも、やりすぎると冷たい印象になりかねない。その匙加減には苦心したという。

「生命感という切り口で、ギリギリまでクールでシャープにした。これ以上やったら無機質になる、という限界でとどめています。シャープだけれど、どこか色気があったり、動物っぽいところも匂わせながら…。冷たくならない表情作りは、かなり慎重に考えました」(松田氏)。

フロントからサイドへスピード感のあるカタマリが延び、逆にリアは後輪を包むように凝縮されたカタマリがある。そしてこの二つのカタマリを、グリルのマツダマークからリヤのマツダマークを結ぶ仮想的な軸で串刺しにするというのがCX-3の造形テーマ。仮想的な軸はフォルム全体が前に進んでいく基準線となる前進軸だ。

「二つのダイナミックなカタマリが前進軸にまったくブレることなく載っていて、それぞれのカタマリは前進軸の方向に合わせた勢いを持つ。二つのカタマリと前進軸という3要素に絞ってカタチを表現し、それ以外の無駄な要素は徹底的に排除しました」(松田氏)。

無駄をなくして研ぎ澄ます。それが「シャープで凛とした表情」を醸し出している。全幅は『デミオ』+70mm。寸法に余裕があるからといって、例えばドア断面を強く抑揚させるのではなく、テンションの効いた面を張って緊張感を漂わせているのも、なるほど「”凛”のブックエンド」だ。ロードスターのボディサイドと見比べれば、マツダが考える「表現の幅」は誰の目にも明らかだろう。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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