【GARMIN fenix 2J インプレ前編】あらゆる屋外スポーツに対応した“万能計器”

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
筆者の腕は細いので、装着すると本体がはみ出してしまう。しかし軽いので装着感は意外と良好
筆者の腕は細いので、装着すると本体がはみ出してしまう。しかし軽いので装着感は意外と良好 全 19 枚 拡大写真

登山の必須アイテムであるABCウォッチにGPSをプラスしたGARMIN独自のアウトドアウォッチが「fenixシリーズ」だ。登山やトレッキングはもちろん、ランニングや自転車などのスポーツにも使える万能ウォッチとして人気を集めてきた同シリーズ。今回は、その進化版『fenix 2J』を紹介しよう。

◆初代のボディサイズはそのままに大幅進化

ABCウォッチとは、高度計(Altimeter)、気圧計(Barometer)、コンパス(Compass)を内蔵した腕時計のことで、登山やトレッキングの必需品としてさまざまな製品が販売されている。GARMINでは、このABCウォッチにGPS機能を追加した独自コンセプトのウォッチ『fenix J』を2013年夏に発売。様々な用途に使えるこのモデルは今でも人気が高い。

fenix Jの機能は今でも不満のないものだが、この1~2年ほどのあいだにGARMINを初めとする各社が矢継ぎ早に投入するフィットネスデバイスは大きく進化し、さまざまな新機能を追加してきた。IoT(Internet of Things)時代の新しい機能を取り込み、さらに対応するスポーツを増やすなど、そのほかの機能にも磨きをかけたのが本機、fenix 2Jだ。

本体は例えて言うならダイバーズウォッチを分厚くしたようなデザインで、大きさは幅4.9cm、高さ4.9cm、 厚み1.7cmとなっている。直径3.1cmで70×70ドットのモノクロディスプレイを搭載し、重量は85gと見た目の印象よりかなり軽い。これらのスペックはfenix Jと全く同一で、本体のケースは変更されていないようだ。

なお、本体の大きさは公式に発表されているもものだが、この数値はボタンの出っ張りやラグ(ベルトを固定するアーム)を除外している。それらを含めて実測してみたところ、幅51.3mm、高さ61.2mm、厚み20mmだった。ついでに重さも計測したところ、こちらは本体に加えてベルトの重さを含めた実測値が、公式に発表されている数値である85gぴったりだった。

50m防水となっている本体は、充電式リチウムバッテリーで駆動される。GPSの測位を毎秒としている場合は16時間、60秒間隔としている場合は50時間の駆動が可能だ。操作は本体外周部にある5個のボタンで行い、GARMINのランニングウォッチのようなタッチディスプレイは搭載していない。

搭載するGPSは準天頂衛星「みちびき」に対応。センサーは三軸電子コンパス、気圧と高度を計測する気圧センサー、それにGセンサーを搭載する。また、各種センサーとワイヤレス接続するANT+、スマートフォンなどと接続するBluetooth SMARTを搭載している。

また、本機は付属品も豊富で、標準のベルトのほか、ベルクロで固定する布製のベルトや、そのベルトに交換するためのドライバー、それに充電用クレードル、ACアダプターなどが付属している。

◆アウトドア派にぴったり、13種類のアクティビティをカバー

本機には「時計モード」と「GPSモード」がある。時計モードでは、MENUボタンを押すたびに時計、気温、気圧、高度、コンパスと表示が切り替わる。このままでもABCウォッチとして十分使えるほどだが、本機にとって時計モードはいわば休眠モードのようなもの。本格的に使うには、START/STOPボタンを押して、アクティビティを選択する。

アクティビティの種類は、クロススキー、スキー/スノーボード、登山、ハイキング、ナビゲーション、トレイルラン、ラン、バイク、スイム、ワークアウト、インドア、マルチスポーツ、カスタムと実に13種類もある。

例えば登山の場合、起動と同時にGPSによる測位が行われ、ABCウォッチとしての機能にプラスして、歩いた距離や高度の変化、設定した目的地までの距離や方向が表示される。本機には3軸タイプのコンパスが搭載されているので、本体を水平にしなくても正確な方角がわかるなど、登山での使いやすさが考慮されている。

また、日本百名山のポイントデータや、日本全国の山小屋と避難小屋計491棟の位置情報があらかじめインストールされている。さらに、本機はANT+に対応しているので、温度センサーをワイヤレス接続することもできる。本体内蔵の温度センサーは体温の影響を受けてしまうが、外部の温度センサーなら取り付け場所を工夫することで正確な気温を測定できるのだ。

ランやバイクでは、それぞれ本格的なランニングウォッチやサイクルコンピューターと同等の機能を発揮する。ランでは走行ペース、タイム、ルート、ラップタイムなどを計測して記録。もちろん、ハートレートセンサーと組み合わせて心拍数をモニターすることもできる。

バイクでは、スピード、ケイデンス、パワーセンサーと組み合わせて、速度やケイデンスを測定および記録できる。サイクルコンピューターと比較するとディスプレイが小さいとういう違いはあるが、それ以外は全く遜色ない機能を発揮してくれるのだ。

◆「リカバリーアドバイザー」機能搭載、ABCウォッチはもはや“コーチ”に

本機は、先代モデルのfenix Jからさまざまな機能が強化された。ここでまとめて紹介しよう。まず、ハードウエアとしてGセンサーが新たに搭載された。Gセンサーは様々な用途に使用される。本機は新たにスイムに対応したが、これはGセンサーによって泳法の自動判別やストローク数を計測できるようになったためだ。fenix Jも水泳に使用することは出来たが、GPSによるコースの記録やストップウォッチくらいしか利用できなかった。

スイムへの対応によって、本機はトライアスロンの3つの競技すべてに対応した。アクティビティの「マルチスポーツ」を利用することで、いちいちアクティビティの切り替えをせずに、トライアスロンで利用することができる。

Gセンサーはほかにも利用されている。GPSが使えない室内でのランニングでは、従来はフットポッドと組み合わせないと計測ができなかったが、本機はGセンサーによって単独で走行距離、ピッチ、ストライド幅などのデータ計測が可能となっているのだ。

トレーニングを効率的に行う機能として、リカバリーアドバイザーとランニングダイナミクスも新たに搭載された。どちらもGARMINのランニングウォッチの上級モデルだけに搭載されている高度な機能だ。別売のハートレートセンサー「HRM-Run」が必要になるが、利用価値の高い機能といえる。

リカバリーアドバイザーは、履歴データや走行時の心拍数、ペースなどから、トレーニング終了時に「回復に必要な時間」をアドバイスしてくれる機能。トレーニング終了時に「リカバリータイム24時間」というように表示される。また、次回走行時にスタートしてからしばらくすると、回復の度合いを「グッド」「バッド」「ノーマル」で表示してくれる。

ランニングダイナミクスは、Gセンサーで体の上下動、ピッチ、接地時間などを計測し、走りの質を評価してくれる機能。GARMINが独自に調査したデータに基づいた評価により、より省エネで故障しにくいランニングフォームを習得する手助けになる。

GARMINのランニングウォッチやサイクルコンピューターが搭載しているライブトラッキング機能も新たに搭載された。これは、本機とスマートフォンをBluetoothで接続し、現在位置をリアルタイムでクラウドサービスの「GARMIN connect」に送信。あらかじめ閲覧を許可した人に、そのデータを閲覧してもらうことができる機能だ。登山では極めて有用な機能であることは想像に難くないが、ランニングや自転車でも利用できる。練習仲間やコーチに自分の位置を見てもらってトレーニングに役立てるといったことが可能なのだ。

また、便利な機能として「スマートノーティファイ」も搭載された。これは、スマートフォンに電話やメールの着信があると本機のブザーやバイブレーションで知らせてくれる機能。ディスプレイにはメールの件名も表示されるので、トレーニング中でも中断すること無くサッと確認できる。

以上、今回は強化された機能面について紹介した。次回は実際に使用してみての印象をお届けしよう。

《山田正昭》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る