道上龍の新チームが強い存在感を放つ…ホンダの15年国内トップカテゴリー陣容

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手前はSF14・ホンダ、奥がNSX CONCEPT-GT。
手前はSF14・ホンダ、奥がNSX CONCEPT-GT。 全 8 枚 拡大写真

13日に明らかになった、ホンダの今季国内トップカテゴリー「SUPER GT/GT500クラス」と「スーパーフォーミュラ」(SF)の参戦ラインナップ。変化点の多い陣容のなかで、道上龍の新チーム「DRAGO CORSE」が強い存在感を放っている。

道上龍(りょう)といえば、長年に渡りホンダの国内戦線におけるエースとして活躍してきたドライバー。2000年にはGT500ドライバーズチャンピオンにも輝いた実績の持ち主だが、GT500のレギュラーシートからは一昨年限りで退いており、次第に後進育成やチーム運営の方向に活動内容をシフトさせてきていた。

昨年終盤には自チーム「DRAGO CORSE」(ドラゴ・コルセ)を率いて、当時はGP2を主戦場としていた伊沢拓也を起用してのSF参戦を敢行。今季に向けてのフル参戦移行が期待されていたが、SFのみならず、チームとしてのフル活動初年度からGT500でもホンダ勢の一角を占めることとなり、一気に存在感を増してきた。

「このオフの間は当初、SFにフル参戦するための準備にいろいろと時間を費やしていたんですが、12月あたりからGT500の話も出てきたかたちです」と道上監督は経緯を振り返る。そして「まだSFを2戦経験しただけ(のチーム)ではありますが、『やれるなら』ということで、GT500にも参戦させていただくことになりました」とチャンスにかける決意を語る。

ちなみにドライバー道上龍(今年で42歳)は完全引退かというと、「引退の二文字は言いたくないです。まだ乗りたい気持ちもありますね」。とはいえ、SFとGT500のダブル参戦実現で「忙しくて、それ(自分が乗る)どころではなくなってきていますよね」とも。いいかたちでの移行、というところだろうか。「そうですね。ドライバーは休憩します(笑)」。

監督業には慣れない苦労も多いようだ。「今にして思えば、ドライバーももちろん大変でしたけど、ある意味ではシンプル(な大変さ)でしたよね。その点、チームを率いるというのは、選手との契約など慣れないことばかりで、今の方がしんどいです(苦笑)」。さらに「僕が走っていた頃は、周りの人たちがこんなに大変なことをいろいろやってくれていたんだ、とも思います」と、今回の大きなチャンスを得られたことも含め、周囲への感謝の気持ちも吐露する。

ホンダNSX勢は今季も5台体制だが、童夢チームが昨年一杯でNSXでのGT500レース活動を取りやめたため、空いた1枠がドラゴ・コルセに託された格好でもある。童夢はかつて道上が長く在籍したチームで、しかもそこでは、今季GT500とSFでドラゴ・コルセのドライバーを務める小暮卓史(たかし)と組んでいた時代も長かった。まさに奇縁良縁だが、「小暮が(勝つために)求めるところは僕が一番よくわかっているつもり。本人も僕もやりやすいと思います」と道上は語る。

SFに関しては「去年の終盤2戦への参戦で、必要なものは分かった。そこを強化して、小暮の(SFでの長い)経験を併せていけば、最初からいいレースができると思います」。そしてGT500で小暮のパートナーを務めるオリバー・ターベイにも道上監督は好印象を抱いている。「マクラーレンでシミュレーターの仕事を多くこなしてきたドライバーで、頭が良く、しかも真面目ですね。NSXの開発にも力を与えてくれる存在だと思います。楽しみにしています」。

SFとGT500でともにドラゴ・コルセへと移籍するかたちになり、特にSFでは長い時間を過ごしてきたナカジマレーシングを離れることになった小暮も、道上監督同様、新天地で迎えるシーズンに向けて気合いは充分だ。

「全部が心機一転の年ですので、どこまでできるのか、自分自身で楽しみです」と話す小暮は、道上監督について「付き合いが深いですし、僕のことをよく分かってくれている」と、道上の言葉と呼応するかような実感を語る。「すごくやりやすいですし、既にいろいろと力になってくれています。こういうかたちで(かつての先輩チームメイトに)恩返しできる機会を得られたことは光栄ですね。ドラゴ・コルセを一躍トップチームにもっていきたいと思います」。

変化多きホンダ勢の今季国内トップ戦線布陣においても、ドラゴ・コルセが最注目の存在であることは間違いない。そして思えば、今年のホンダ系GT500参戦チームの監督は高橋国光、中嶋悟、鈴木亜久里、金石勝智と、いずれもホンダで活躍した経験をもつ往年の名手たちだ。そこに新たに参陣した“後輩”道上のドラゴ・コルセがどんな活躍を演じるか、そういう見方をしても実に楽しみな要素である。

《遠藤俊幸》

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