VAIOの関取高行社長は2月16日の新製品発表会で、7月1日の新会社発足以来、「モノづくりの常識を課程から変えようと挑戦してきた」と述べた。
つまり、これまでのようにメーカー側が一方的に考えてモノをつくるのではなく、ユーザーと一緒にモノをつくっていく、という共創という考え方を取り入れてきたという。具体的には、試作段階で漫画家やカメラマン、クリエーターなどに実際に使ってもらい、そのフィードバックを元に開発してきた。そんなことはソニー時代にはあり得なかったそうだ。
そして重要なのは「顧客視点ではなく、“個客視点”のモノづくり」だという。一人ひとりに目を向けて、その人が本当に必要なモノをつくっていく。そうすれば、自然とユーザーはついてくるというわけだ。
ソニー時代の「VAIO」は台数を売るために、いつの間にか安物のPCとほとんど変わりなくなり、その結果、ブランド力が大きく低下。ユーザーから見向きもされない存在になってしまった。
そうした反省を踏まえ、今回の新製品「VAIO」では、ただ単に重さや薄さを目指すという開発方針を転換、個客視点に立った商品づくりに終始した。「最後の瞬間までつくるのに苦労した」と関取社長。VAIOはまず地に落ちてしまったブランドの再構築を目指す。