【テスラ モデルS 試乗】機能追加は通信で!?…クルマと言うより“新たな乗り物”…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
テスラ モデルS
テスラ モデルS 全 15 枚 拡大写真

電気自動車の加速のよさは、十分に体験済みのはずだった。車速ゼロからのスタートは、エンジンよりもモーターのほうがだんぜんいい。ハイブリッドカーだってその速度域は、すっかりモーターに任せて頼り切っているんだし。

しかしテスラ『モデルS』。車格といい大きさといい、デザインのなめらかな流線型具合といい、単なるEVではないことは承知していたというのに、高速道路の合流部分でアクセルを踏んだとき、私は自分が分身の術を使えるようになったのかと思った。ものすごい瞬間移動なのである。

なにせ、加速するときの前置きがない。ガソリンエンジンなどの場合、トルクでがっつり前に押し出されるとしても、アクセルを踏んでから「くるぞくるぞ」という脳内準備時間がそれなりにあるものだ。おそらくそれはコンマ数秒より短い時間なのだろうが、それでも期待し身構える時間が残されている。

ところがモデルSときたらどうだ。アクセルを踏んだときにはすでに、移動が終わっているのである。「ぐえ」とか「ひえ~」とかうなっている暇すらない。これはもうクルマではなく、テスラ モデルSという名前の乗り物だろう。

そもそも、乗る前にボンネットを開ければ、荷物スペースになっているし、後ろのトランク部分は大きいし、後部座席に座れば足元はフラットで広いし、運転席に乗り込んだら、デスクトップの液晶画面がタテに張り付いてるんじゃないかと錯覚するようなパネルがあるし。なにもかもいちいちのけぞる状況なのである。

タッチパネルは地図やエネルギー省比率を表示する以外にも、回生ブレーキの強さや乗り心地なども簡単に変えられる。もちろん、インターネットにもつながっているからウェブサイトも見られる。このレスポンスの記事もね。

さらに先日、オーナーの方と雑談をしていたら、「アップデートのサインが出た」というので詳しく聞いたら、レーンキープアシスト機能が追加されるのでダウンロードせよということなんだとか。げげげ、クルマの機能を通信でアップデートってなんなんでしょう?

これまでクルマを購入するときに、「次のモデルチェンジまで待てば、この機能がつくんだよね」と装備について悩むことが多かったけれど、テスラはそういう買い方すらも“関係ないね”な世界。まさに次世代。しかし、日本在住の身とすれば、これでもう少しボディサイズが小さかったら、ものすごくありがたいんだけどな。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  2. ホンダ『プレリュード』新型、ホームページで先行公開…発売は9月
  3. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  4. スバル『フォレスター』に早くも「理想の姿」と話題の特別仕様、「最初から出してよ!」の声も
  5. トヨタ「クラウン」「アルファード」など21車種、64万台超の大規模リコール[新聞ウォッチ]
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
  3. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
ランキングをもっと見る