ニュル24時間に挑む佐々木孝太、今季型 WRX STI に「前後の一体感ある」

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左から辰己STI総監督、佐々木孝太、小澤STI監督。
左から辰己STI総監督、佐々木孝太、小澤STI監督。 全 8 枚 拡大写真

4日、富士スピードウェイで「SUBARU WRX STI」の今季型ニュルブルクリンク24時間レース挑戦車を初ドライブした佐々木孝太は、「ライバルは手強いけど」と前置きしながらも、3年ぶりのクラス優勝に向けて「前後の一体感がある」など、新車への好印象を語った。

サーキットでの今季型初走行を迎えたこの日、最初のセッション(11~12時)は雨上がりのコンディションに。合計約20周を走った佐々木によれば、「最初は乾いているところがなくて、インターミディエイトタイヤがちょうどいいくらいの状況でした。でも最後は8割方ドライになりましたね」という路面推移で、途中でスリックタイヤに履き替えての走行となった(タイヤはダンロップが供給)。

周回タイムは前半が2分00秒~1分55秒ほど。後半には1分50秒台を出しており、このペースは「(路面状況等を考えつつ)だいたいこのへんかな、というところを狙っていった」ものだったという。

シェイクダウンにおいて重要なことはタイムよりも手応えだ。佐々木は昨年型の課題で、開発陣が改善を意識してきたところでもある「中高速コーナーでのアンダーステア解消」を意識しつつの走行だったが、「旋回性は上がっている」とコメントし、フロントのダウンフォースを増す開発の方向性が実りつつあることを示唆した。

もちろん、いきなり完璧とはいかない。フロントの旋回性が上がった影響か、逆に「リヤが軽くなって、(ダウンフォースが)抜けるようなところがあった」とのことで、「そこを調整しながら走った感じですね。このバランスなら、もう少しリヤのダウンフォースを上げてもいいのかもしれません」。ファインチューニングを重ねる必要は、当然ある。「(コーナーの)進入の飛び込みに関してはかなり良くなっています。出口にかけてはまだ合っていませんけどね」。また「(新採用の)パドルシフトの完成度はまだまだ。特にシフトダウンの時のショックが大きく、挙動の乱れにつながる」との具体的課題も挙げる。

とはいえ、「前後がつながっている、AWD(4WD)らしい一体感がありました。昨年型は前後がちょっと別の動きをするような面もあったんですが、そこは改善されています」と、これは実に良い第一印象。「操作系も含めて乗りやすいですよ」。

勝つために出来る限りの最善手を尽くしてきた開発陣の想いも受けてのサーキット初走行。その象徴たる左ハンドル化にも「違和感はまったくない」。この左ハンドル化は、大半のマシンがそうであるところへの同化を果たすことで、フラッグポストの視認性等を改善するのが目的だが、ピット作業にも好影響をもたらすようだ。

「今までは給油口とコクピットが同じ右側だったので、ドアを開けるスペースを確保するために、給油タワーのギリギリまで寄せられないなどの不利があったんです。それらが解消されるだけでも、あの(多くのマシンで)混雑するピットでは大きいと思います」

あとは相手関係だが、「間違いなくライバルは手強いですよ。たぶんアウディTTは新車でしょ?」と、佐々木は警戒する。しかし、今季型SUBARU WRX STIを「1周の速さもそうですが、1スティント(約9周)を走った時に速いと思います」と評すなど、自身と陣営にとって3年ぶり3回目のSP3Tクラス(2000cc以下ターボ車クラス)優勝に向け、まずは良好なファーストドライブだったようだ。

スバル/STI陣営は今後、ニュルブルクリンク現地でのクオリファイングレースやVLN(ニュル長距離選手権シリーズ)への参戦で実戦経験を積みつつ、さらなるマシン開発を進め、5月14~17日の24時間レース本戦に佐々木、T.シュリック、M.ラッセー、C.ヴァンダムの布陣で挑む(佐々木はクオリファイングレースにも参戦予定)。

《遠藤俊幸》

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