【メルセデス S550 プラグインハイブリッドロング 試乗】Sクラスの長所を際立てるHVシステム…諸星陽一

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ S550 プラグインハイブリッドロング
メルセデスベンツ S550 プラグインハイブリッドロング 全 5 枚 拡大写真

メルセデスのなかでも言わずと知れた高級グレードである『Sクラス』。このSクラスにプラグインハイブリッドが存在する。それが「S550プラグインハイブリッドロング」だ。

価格は1590万円。じつはこの価格、ハイブリッドシステムが装備されていないS550と同じだ。プラグインハイブリッドは3リットルのV6エンジン、エンジンモデルは4.7リットルのV8エンジン。ハイブリッドのモーター出力を合わせたシステム出力は442馬力、ガソリン車は455馬力。どちらも自動車取得税の自動車重量税が免税。自動車税についてはプラグインが75%優遇、エンジン車が50%優遇。JC08モード燃費はプラグインハイブリッドが13.4km/リットル、エンジン車が10.5km/リットル。

こうやって数値だけを見ていくと、大きな違いは燃費と自動車税の違いくらいしかない2台。だが、プラグインハイブリッドを選ぶ人は、燃費や自動車税を節約したい人なんだな…と短絡的に考えない方が良いだろう。よくよく、考えれば1500万円を超えるようなクルマを買う人がそこまで細かいことにこだわるだろうか? 多少はこだわるかも知れないが、それはまれな例だろう。

プラグインハイブリッドに乗る人たちは、Sクラスという上級モデルを使用しつつも環境問題に感心のある人、最先端のクルマに乗ってみたい人などだ。このクラスになると自分で運転せずに運転手付きのクルマとして使うこともあるだろう。経営者などにとては環境に配慮しているクルマを選んでいるということも大切なことと言えるはず。

さてそんなS550プラグインハイブリッド。普通に走らせていると、非常に静かで快適だ。エンジン車もかなり静かだが、加速感やフィーリングはエンジン車と大きな違いがある。

多くのハイブリッドモデルがそうであるように、S550ハイブリッドも発進はモーターのみで行う。このまま上手くアクセルを操作すると、エンジンは始動せずモーターのみで走り続けることが可能だ。このときの感覚は、エンジン車では味わえないスーッとした動きで、そこからさらにアクセルペダルを踏めば、力強い加速が可能。エンジン車のS550よりも150kgほど重い車体だが、モーターとエンジンの組み合わせによる加速感はエンジン車に迫る勢いを持つ。つまり、Sクラスのいい部分をさらに高めたのがこのプラグインハイブリッドと言える。

EV走行の航続距離は33km。自宅で充電して会社まで15km程度ならば上手に運転すれば往復できてしまうかもしれない。直線距離でいえば、東京の大手町から千葉県の浦安までが15km程度だ。充電時間は200V充電で4時間というのだから、これもまた実用的なレベルだ。

室内の快適性は極限まで高められていると言っても過言ではない。たとえばヘッドレストにしても、単純に衝突時に頸椎へのストレスを減らすだけでなく、非常に柔らかくて肌触りのいいものを採用することで気持ちのいいドライブを可能にするなどの工夫が施されている。

1500万円を超える価格のクルマ。このクラスでは、価格を考慮してクルマを選ぶ人も少ないということで、評価については価格を考慮せずにおこなった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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