北海道の「赤い電車」711系、46年余りの歴史に幕

鉄道 企業動向
札幌駅3番ホームの苗穂寄りで掲げられた横断幕。
札幌駅3番ホームの苗穂寄りで掲げられた横断幕。 全 8 枚 拡大写真

1968年の営業運行開始以来、津軽海峡線を除く北海道内の交流電化区間を走り続けてきた「赤い電車」こと711系電車が、3月13日をもって営業運行を終了した。

1980年までに総勢114両が製造された711系は、国鉄在来線初の交流専用電車。1965年に策定された国鉄の第三次長期計画に函館本線小樽~滝川間の電化計画が盛り込まれたのを機に、試作車2編成が1967年に登場した。その試験結果を基に1968年には量産車が登場し、同年8月から小樽~滝川間で営業運行を開始した。

近郊型電車のカテゴリーに入る車両ではあったが、デッキ付き2ドア仕様で、便・洗面所や幅の広いボックスシートを備えていたことから、急行『かむい』でも運用。函館本線の電化区間が伸びた1969年10月改正では旭川まで運用範囲を拡大し、1971年7月には札幌~旭川間ノンストップの急行『さちかぜ』でも運用された。

1975年7月、北海道でも電車特急が運行されるようになると、次第に運用範囲が狭まるようになり、急行運用は1986年11月改正で終了。以後は、札幌圏の快速や区間快速を含むローカル列車で運用され、JR移行後には3扉化改造車や冷房搭載車が登場するようになった。

一方、1980年には室蘭本線・千歳線室蘭~白石間が電化されたのを機に、マイナーチェンジ車として100・200番台が登場。1986年までには、塗色がそれまでの赤2号とクリーム4号の前面警戒色から赤1号とクリーム1号のツートンカラーに塗り替えられるようになり、いつしか「赤い電車」と呼ばれるようになった。2011年から2012年にかけては、S-110編成とS-114編成が、国鉄時代を彷彿させる旧塗色に塗り替えられた。

1997年に新型の731系電車が登場してから廃車が始まるようになり、最後まで残ったのは1980年に登場した100・200番台のみだった。2012年10月改正では室蘭本線・千歳線から撤退する一方で、電化されたばかりの札沼線(学園都市線)で朝のみ運用に入ったが、2014年8月28日改正では大幅に運用が減らされ、手稲~旭川間に運用範囲が限定された。

最終運行を間近に控えた今年2月16日からは、かつて札幌圏のローカル列車で使用していたヘッドマークをアレンジした「さよなら711系」ヘッドマークを4種類掲出。残る運用も3月に入ってから段階的に721系などに置き換えられるようになり、回送を含む手稲~岩見沢間の運用は3月11日限りで、岩見沢~旭川間の運用は3月12日限りでそれぞれ終了。岩見沢7時49分発の札幌行き普通列車(列車番号144M)が最後の運用となり、3月13日の最終運行を迎えた。

144Mは、岩見沢寄りがS-116編成、札幌寄りがS-111編成の6両編成となり、S-116編成には「いしかりライナー」風、S-111編成には「マリンライナー」風のさよならヘッドマークが掲出された。

144Mの終着直前には「ご乗車の赤い電車711系は、本日、札幌駅到着を持ちまして定時営業運転の役目を終え引退いたします」の車内アナウンスが流れ、所定より3分遅れで札幌駅3番ホームに到着。苗穂寄りでは「さよなら『赤電車』711系ラスト・ラン」の横断幕が掲げられた。そして8時58分頃には、警笛を数回鳴らしながら札幌運転所へ引き上げ、46年余りにわたる営業運行にピリオドを打った。

最終運行翌日の14日には、小樽・銭函・手稲・琴似・野幌・江別・岩見沢・滝川・深川・旭川の各駅で図柄が異なる記念入場券や乗車券が発売され、滝川駅での記念乗車券購入者には記念券付きの大型特製台紙が配布された。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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