【マツダ CX-3 試乗】欧州車的で爽快、直進性の良さならFWD+MT…吉田匠

試乗記 国産車
マツダ CX-3
マツダ CX-3 全 22 枚 拡大写真

マツダのコンパクトクロスオーバー『CX-3』、その最も明確なチャームポイントはスタイリングだろう。そう、見るからにスタイリッシュ、もっとシンプルにいえばカッコいい。長めのボンネットの後ろでキュッと締まったキャビンと、その下の分厚いウエストライン、樹脂製オーバーフェンダーから踏ん張る18インチのホイール&タイヤ。しかもそれらの要素が、緊張感のあるエッジと曲面で有機的に繋がり、引き締まった一体感を醸し出す。

パワーユニットからガソリンの選択肢を排除し、1.5リットル直4ディーゼルターボのみとした思い切りのよさも、大きなポイントだろう。プラットフォームの基本は『デミオ』と共通ながら、ボディが一回り大きく、車重もデミオより100kgほど重いことも、トルクの豊かなディーゼルターボ専用とした理由のひとつと思われる。さらにその車重増加に対応するべく、最大トルクも27.5kgmと、デミオより強化されている。

駆動系はFWD=前輪駆動と4WDの2種類があり、そのそれぞれに6段ATと6段MTが用意されている。三浦半島観音崎で行われた試乗会で最初に乗車したのは、4WDのAT仕様だった。

キャビンに収まると、ダッシュボードなどの基本デザインはデミオと共通なのが分かるが、フロアおよび着座位置が高いため、雰囲気はSUVらしい。一方、キャビン部分が絞り込まれたデザインのため、インテリアは広い方ではなく、リアシートのレッグルームやヘッドルームも、大人が2人座るのに不足はないが、決して余裕のある方ではない。

4WDのAT仕様は車重1330kg、それを1.5リットルのディーゼルターボとATで走らせる動力性能は、実用上充分なレベルにあるといっていい。回転感はスムーズだが、ディーゼル独特のノイズは、特に不快というわけではないとはいえ、常に耳につく。ピストンピンに「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を装着した上級モデルでは、低回転域でのカラカラというノック音が緩和されているものの、完全に消えているわけではない。

ベーシックモデルを除いて、タイヤは18インチが標準装着されるが、シャシーはそれを上手く履きこなしていて、バネ下の重さを顕著に実感させることはない。しかも見た目から想像できるとおり、コーナリングは足元が踏ん張りを効かせる印象で、適度にスポーティな感触を持っている。だがその一方、高速道路では100km/h前後で直進する際に、ステアリングを細かく修正する必要を感じた。矢のように直進する感触が希薄なのである。

その点を開発エンジニアに話したら、4WDの方が未舗装路走行を想定してFWDよりサスペンションをソフトにセッティングしてあり、パワーステアリングも軽めに設定してあるという。直進性の不足を感じるのは、そういったことも一因かもしれない。

なぜなら、後に乗ったFWDモデルの方が、ステアリングの感触は明らかに頼りになったからだ。しかもそのFWDモデルはMT仕様だったが、1.5リットルディーゼルターボとMTの組み合わせは、ヨーロッパのコンパクトカーを走らせているかのような感覚を味わえて、なかなか気分爽快だったことを最後につけ加えておこう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★☆

吉田 匠|モータージャーナリスト
1947 年生まれ。子供の頃からのクルマ好きが高じて、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。同誌ではスポーツカーのロードテストなどを主として担当し、ヒストリックカー、ツーリングカー、FJなどのレースにも参戦、優勝経験もけっこうあり。後にフリーランスのモータージャーナリストとして独立。自動車専門誌や一般誌に記事を執筆し、今日に至る。旧いクルマに造詣が深く、愛車の一台は1962年ポルシェ356B。

《吉田匠》

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