【スーパーフォーミュラ】岡山合同テスト…2日目の土曜日は“可夢偉フィーバー”も

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小林可夢偉(右)と、僚友の平川亮(左)。
小林可夢偉(右)と、僚友の平川亮(左)。 全 10 枚 拡大写真

28日、2日目を迎えた全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)の岡山公式合同テストは、小林可夢偉というビッグネームが今季から参戦している影響もあり、SFのテストとしては異例ともいえる数の観客を集めた。

昨年から導入されたマシン「SF14」がF1級のスピードを発揮、そしてレベルの高いドライバー&チームが毎シーズンのように接戦を展開している等々、もちろん潜在的には(長年の課題でもある)一般層の人気向上につながる要素がSFに揃いつつあるのは事実だ。

ましてや今季7年ぶりの実戦開催(5月23~24日の第2戦)がある岡山国際サーキットでのテスト実施で、入場料1000円(中学生以下は無料)、駐車料500円、ピットウォークにもエクストラチャージなしで参加できるなど、レース開催時に比べて圧倒時なお得感もあった。とはいえ、やはり可夢偉の登場が大きな影響を及ぼしていることも間違いなかった。

多くの学校が春休み中の週末という条件の良さも重なった土曜日(テスト2日目=最終日)、来場者は1741人を数え、昼休みに実施されたピットウォークでは可夢偉と若手有望株・平川亮を擁するKYGNUS SUNOCO Team LeMansのピット前に長蛇の列が。時間内には希望者全員へのサイン対応ができず、300枚の整理券を配って午後の走行終了後にサイン会再開、という運びになった模様である(走行後も特設テントの可夢偉&平川の前には再び長蛇の列)。

3月上旬の鈴鹿テストでも可夢偉人気は相当なものだったが、兵庫県尼崎出身の彼にとっては準地元ともいえる土地柄の岡山であり、さらには前日(初日)にトップタイムをマークしていたこと等が“可夢偉フィーバー”を加速させたものと考えられる。

他のトップドライバーたちには申し訳ない言い方になるが、やはり可夢偉と佐藤琢磨の両者は、一般層への破格の訴求力を有しているようだ。昨年12月のSF岡山テスト時にはこのふたりが揃ったこともあって、厳寒期の平日ながらかなりの賑わいを見せていたという事実もある。琢磨にはSFレギュラー参戦の経験はないが、今季は可夢偉のレギュラー参戦が実現した。やはりシーズン開幕後も(少なくともファンにとっては)可夢偉中心の展開になるようだ。

可夢偉自身はここまで、楽観はせずに、かといって悲観めいているわけでもなく、冷静に自分のSFにおける現在地を確認しながら、いい意味で淡々と、できる仕事を着実に進めている印象。期待していいと思わせる空気感が、確かにある。

さて、今回の岡山テストではエンジン供給メーカーであるホンダとトヨタの各開発リーダーを交えてのメディア懇談会(初日)の場において、今季のレースフォーマットに関する重要な情報ももたらされている。現在のSFエンジンには燃料流量リストリクターという機構があるが、その最大燃料流量の設定が今季は鈴鹿と富士では95kg/h、それ以外のコース(岡山を含む)では90kg/hを基本として運用されることに決まったのである(昨年に比べると鈴鹿と富士はマイナス5kg/h)。

現行エンジン規定初年度だった昨年はトヨタ優勢のなか、最大流量が90kg/h設定のレースではホンダも互角に戦える、というような状況があった。もちろん、それだけの影響によるものではないだろうし、それぞれのエンジンはその後さらなる進化を継続中である。このため一概にはいえないが、90kg/hの設定が基本だった今回の岡山テストでもベストタイム順位的にトヨタ勢とホンダ勢が入り混じるセッションが多かったように思えることから、今季の90&95kg/h設定は接戦化に拍車をかける可能性がある。

そしてレース中に20秒×5回の使用を原則とするオーバーテイクシステム(OTS)。現在のそれは最大燃料流量を増すことでエクストラパワーを得ているが、昨年は各回+5kg/hだったものを、今季は諸条件のバランスを考慮して+10kg/hへとアップ幅を拡大するという。ホンダの佐伯昌浩リーダーによれば「今年はOTSの使い方がかなり重要になってくるかもしれません」とのことで、大きくなったアップ幅を活かしてのオーバーテイク(とそれに対するディフェンス)にレースでは注目が集まることだろう。

今季のSFは4月18~19日の鈴鹿サーキット戦で開幕。そして岡山では、7年ぶりとなる実戦が5月23~24日に第2戦として開催されることとなっている。

《遠藤俊幸》

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