【SUPER GT 第1戦】カルダレッリ&平川、形勢何転かを経てポール・トゥ・ウイン…GT500

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優勝を飾った#37 RC F。
優勝を飾った#37 RC F。 全 13 枚 拡大写真

SUPER GT開幕戦は5日、岡山国際サーキットで決勝日を迎え、微妙な天候のなかで形勢が幾度も変わる展開となったなか、最終的にはアンドレア・カルダレッリ&平川亮のレクサスRC Fがポール・トゥ・ウインでGT500クラスを制した。

決勝日の天候は朝から雨。しかし、午後2時30分のローリングラップ開始を前にした時点ではしばらく雨が落ちてきておらず、しかし路面は依然ウエットであり、各チームはスタート後の天候の読みを含めてタイヤ選択に大いに悩まされることとなった。そしてレースは、路面状況と履いているタイヤの特性が合う、合わないによって有利不利が激しく交錯する展開となっていく。

レース前半は雨がほとんど落ちてこず、GT500クラスの戦況はブリヂストン(BS)タイヤを履くホンダNSX勢が予選苦戦からの大逆襲を果たす格好で推移した。対照的に予選上位を占めたBS装着のレクサスRC F勢は後退していく。これは同じBSタイヤでも、レクサス勢は主に雨が降ってきた時に向く特性のタイヤを、ホンダ勢は主に乾きめの時に有効なタイヤをそれぞれ履いていたと見られるためだ。

ただ、BSのレクサス勢が後退していくなかでも、ポール発進の#37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ&平川亮)は実質の表彰台圏内を守り続けていた。これが最終的にポール・トゥ・ウインを呼び込む伏線となる。前半はカルダレッリがよく辛抱し、平川に代わってからも、彼は「NSXに抜かれても(終盤に)雨が降ると分かっていたので、乾いてきた路面でタイヤを酷使せず、温存気味に走りました」という冷静さで終盤に備えていたのだ。

終盤、強めの雨が来た。BS装着のRC F勢が一斉に元気になる。首位に立っていた#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴&伊沢拓也/BS)にはタイヤ的に苦しい路面状況となり、満を持していた平川が#100 NSXとのギャップを一気に削り取りにかかった。そして82周レースの71周目、平川はトップを奪う。終盤のコンディションへのタイヤの向き不向き、ひいては陣営の天候の読みに基づくタイヤ選択を最大の決め手に、平川が主役を演じる格好で、最後は#37 RC Fが後続に42秒差をつけてのポール・トゥ・ウインを果たした。

今季が初のGT500フル参戦とは思えぬ冷静さと、大器の誉れ高い彼らしい大胆さで優勝を飾った平川は「難しいコンディションのレースでしたが、ポール・トゥ・ウインで幸先のいいスタートが切れました。次の富士では(今回勝ったことで)ウエイトハンデを積むことも理解したうえで、クルマのポテンシャルを引き出したいですね。そしてシーズンを通じてミスなく戦いたい。チャンピオンを獲るしかない、と思っていますから」と力強く語っている。

予選、決勝と派手な活躍は平川に譲った格好だが、カルダレッリの前半の走りの貢献度も大きかった。担当の小枝正樹エンジニアも「タイヤ的にきついところもあったなか、いいペースでよく頑張って(上位に)居続けてくれました」と讃える。昨年も開幕勝利を挙げているカルダレッリだが、シリーズタイトルは僅差で逃した。「今年は違う結果になるといいね」と笑顔で話し、「今日はチームのすべてが“ベリーグッドジョブ”だった。オフのテストからの成果でもあり、とても光栄に、そして嬉しく思う。SUPER GTのシーズンは(いろいろな意味で)長い。去年は最終的に2点差でシリーズ2位だったわけだが、今年、“トライアゲイン”するよ」と王座再挑戦を誓っていた。

GT500決勝2位は#100 NSX。3~6位は以下の通りで、1~6位にレクサスとホンダが互い違いに入る結果となった(タイヤ的には7位までBSが独占)。

3位 #38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路&石浦宏明)
4位 #8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮&野尻智紀)
5位 #39 DENSO KOBELCO SARD RC F(平手晃平&H.コバライネン)
6位 #15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(小暮卓史&O.ターベイ)

日産GT-R勢の最上位は7位の#12 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信&J-P.デ.オリベイラ/BS)。BS以外のタイヤでは、ミシュランを履く#46 S Road MOLA GT-R(本山哲&柳田真孝)の8位が最高だった。

SUPER GT第2戦はゴールデンウイーク恒例の富士スピードウェイ戦。日程は5月2~3日で、通常より長い決勝500kmの戦いとなる。雨で各車の真の力が見えにくかった部分もあった開幕戦を受けての戦いがどう展開するか、約1カ月後が実に楽しみである。

《遠藤俊幸》

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