【SUPER GT】存在感を増すアウディ勢…Racing Tech Audi R8も開幕戦4位の好成績

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開幕戦、GT300クラス4位となった#86 Racing Tech Audi R8。
開幕戦、GT300クラス4位となった#86 Racing Tech Audi R8。 全 10 枚 拡大写真

5日に今季開幕戦(岡山国際サーキット)の決勝レースが開催されたSUPER GTシリーズ。GT300クラスでは、3位の#21 Audi R8 LMS ultra に続く4位に#86 Racing Tech Audi R8が入り、アウディ勢がその存在感を増す格好となっている。

GT300を始め、世界のレースシーンで活躍するGT3規定車としては実質的な開祖といっても過言ではない名車、「アウディR8 LMS」。高い戦闘力を世界各地の戦線で発揮してきたが、正直なところ近年のGT300では同じドイツの他社製GT3規定車たちの活躍の前に、やや影が薄くなっていた。台数的にも昨年は#21の1台(1チーム)のみと、以前に比べて寂しい状況だった。

しかし今季は、Racing Tech陣営が「Audi Team Racing Tech」としてR8での参戦にシフト。GT300でR8が新型に切り替わるのは来季の予定なので、このタイミングでの台数増は意外と思える部分でもあるが、そこには陣営(チーム)の意欲や選択、戦略といった要素が当然ながら介在している。そしてそれには、アウディの日本法人アウディジャパンのモータースポーツ活動、特にGT300クラス参戦チームへのさらなる支援体制強化の方針が影響しているようだ。

アウディジャパンの大喜多寛(おおきたひろし)社長は、開幕戦で取材陣を前に次のような旨を語っている。「我々も地道にサポートをしてきたなか、それを評価していただけた部分もあったようで、今年は(#21と#86の)他にも『R8でやりたい』という声をいただいていました。ただ、ニューマシン登場が来季ということを考えると(実質的に)1年限りの現行車使用になってしまいますので、待っていただいているところでもあるんです」

来季は新型投入とともに台数増が見込まれそうな状況のようだが、「我々も苦労してきて、参戦チームの方々が最適な状況で戦うためにはどういうサポートが必要なのかが、分かってきました。たとえば技術的には、欧州のレースであれだけたくさんのR8が走っているわけですから、そのノウハウを日本でも活かせるような支援をしなければならない。あとはパーツ供給の体制をさらに強化することであったり、とにかくアウディジャパンとしてやるべきことが分かってきました」。そういった点を見込まれての、GT300参戦オファー増だろう(もちろん新型への期待値も込みで)。

#21のAudi Team Hitotsuyamaが欧州の強豪WRTとのコラボレーションを今季から発足させたり、#86 Racing Tech Audi R8のドライバーにR8で昨年のニュル24時間レース総合優勝を達成しているクリスチャン・マメロウが起用されたことなどの戦力増強策に、(直接的ではない部分も含め)アウディジャパンのサポートが好影響をもたらしていることは確か。大喜多社長の言う、プライベートチームへのサポートの仕方が「分かってきた」ところの効果だと思うが、実際に開幕戦で結果が出た。雨絡みのレースでの3-4フィニッシュは、決して展開に恵まれただけの好結果ではなく、R8がGT300でのタイトル戦線参入を果たす予兆ともいえる内容が伴っていたと見る。

「GT300は今、すごく人気がありますよね。子供さんもこんなにたくさんサーキットに来てくれていますし、クルマ離れなんてないんじゃないかと思うくらいです」と話す大喜多社長は、「もちろんブランディングがモータースポーツ活動の最大の目的ですが、レースにはビジネスにも通じるところがあって勉強にもなります。そして、この面白いモータースポーツをもっと広めていきたい、欧州のように文化として成立してほしい、そういう思いもあります」との意も語り、今後も最適な戦いのための最適なサポートを展開していく決意を示してもいる。

また、GT500がDTMとの技術規則完全統一(17年~)を目指し動いているなか、アウディがDTMに参戦中であることを考えると、たとえば現在GT300参戦中のチームが将来的に「GT500をアウディでやりたい」という意欲を見せる可能性も考えられるところ。これに関して大喜多社長は(非公式な雑談レベルの話だが)「仮にアウディがGT500に出ることになったとして、まずAudi Sportがどういうスタンスでやるのかが見えてこないと、我々(アウディジャパン)がどうするかも見えてきません。今は状況推移を見つつ、ですね」との見解を語っており、当面は本国サイドの対応を見ながら、もし参戦が実現するならば、やはり状況に合わせた最適なサポートをする意向のようだ。

16年の新型R8導入を控えた今季ではあるが、GT300戦線の台風の目となりそうなアウディ勢。開幕戦4位の#86 Racing Tech Audi R8をマメロウとともに駆る細川慎弥は、レース前日に「R8は剛性が高いと感じるマシンです」との旨を語っていた。いきなりの好結果で手応えはさらに増し、弾みもついたことだろう。#21ともども今季一層の躍進が期待される。

《遠藤俊幸》

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