【マツダ ロードスター 試乗】S660 とは対極「踏んで曲がれ」というメッセージ…森口将之

試乗記 国産車
マツダ ロードスター 新型
マツダ ロードスター 新型 全 28 枚 拡大写真

なによりも先代で目立った演出めいた走りが影を潜めて、小型軽量スポーツカーならではの素直な動きをピュアに味わえるようになったことに好感を抱いた。

【画像全28枚】

先代『ロードスター』は、2リットルならではの力強い加速と作り出した排気音、パキパキ動くハンドリングが特徴だった。はるかに大きく重いスポーツカーが、小ささ軽さを感じさせるために盛り込む演出を、取り入れてしまった。

僕はヒストリックカーも守備範囲としているので、1950~60年代のライトウエイトスポーツカーに何度も試乗したことがある。そこには意図的な演出など当然ない。だからこそ、軽量コンパクトをピュアに感じることができた。ロードスターが目指す道はそこにあるはず。演出など不要なのだ。

新型はそれに気づいたようだ。基本を磨き上げた代わりに、妙な演出は排除した。ボディを短く軽くしたから、1.5リットルでも問題なく走る。ブォーンという懐かし系の音は、エンジンの息吹を感じる。サスペンションが固くないせいもあって、操舵の瞬間の動きは鋭くないけれど、その後の身のこなしで小型軽量を実感できる。

それでいてやっぱりマツダ、エンスー集団だと思った部分もある。横浜の街中と首都高速を走っただけでも、「踏んで曲がれ」というメッセージが伝わってきたからだ。

なんとなくステアリングを切って、なんとなくアクセルを踏むようなスタイルでは、新型ロードスターは気持ち良く曲がってくれない。高速コーナーで試すと、アクセルを開けるとノーズが外に膨らみ、閉じると内側に戻るという動きがはっきり出る。

でもそれに打ち勝って右足を大きく踏み込むと、駆動力が上回って、車体がグングン回り込んでいく。気持ちいい。これが正しいスポーツカー乗りの作法なんだと教えてくれるのだ。

このあたりは前後して発表されたホンダ『S660』とは対照的だ。それでいい。かつては没個性と言われた日本車が、今年は同じライトウエイトスポーツというジャンルに2台を、異なる方向性でデビューさせたのだから。たぶん日本の自動車業界の歴史に残る年になるはず。まずは拍手とともに出迎えて、あとは好みにあった1台を選んでほしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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