【マツダ CX-3 試乗】次世代のスタンダードになりうる…家村浩明

試乗記 国産車
マツダ CX-3
マツダ CX-3 全 24 枚 拡大写真

コンセプトは「次の時代のスタンダードを創造する」こと。そんな大きな目標を掲げた意欲的な新型車が登場した。マツダの『CX-3』である。

【画像全24枚】

その企図から「あらゆる場面での使いやすさを追求したサイズとパッケージング」という具体案となり、ドライバーのアイポイントとヒップポイント(前席座面の地上からの高さ)も、そうした観点から設定されたという。

造型の全体のまとめは、SUV+乗用車(クーペ含む)という趣で、メーカーも、これは「クロスオーバーSUV」であると謳っている。そして、こんなカタチも含めて、これからの「スタンダード」になるという提案で、SUVベースに乗用車テイストをアレンジしたものが(そのアレンジの度合いはさまざまだろうが)今日とこれからの「日常車」になるという視点については私も同感だ。

注目のパワーソースだが、CX-3(国内仕様)はディーゼルのみで行くことを選択した。いまやディーゼル・エンジンは“プレミアム”であるというのがその主張で、豊かなトルクによる余裕の"走り"が、高価であることも含めて、次世代スタンダード車に相応しいということのようだ。

走ってみても、このエンジンは、過剰なまでのトルク&パワーではなく、いつでもどこでも適切に、必要な“チカラ”を発揮する。そんな必要にして十分というパワーソースとしてまとまっている。また、基準仕様の段階でかなり静かなディーゼルだが、このモデルでは、ディーゼル特有の“カラカラ音”をさらに抑えるための新メカも盛り込まれている。(ピストン・ピンを変更するオプション)

ただ、走っていての小さな不満は乗り心地だ。デザイン的な主張である大径の18インチタイヤは、見た目としてはカッコいいのかもしれないが、走っての「しなやかさ」という点では、現状の仕様ではイマイチの部分がある。郊外の道を流して走っていても、舗装表面の粗さをそのまま伝えてしまう感覚で、この点については、もう少しヌルッというようにクリアできればさらにいいと思う。

この点では、ベーシック・バージョンに設定されている16インチタイヤの方が、ずっと“しっとり感”があり、滑らかなクルーズができる。パーソナルチョイスということなら、私はこの16インチ仕様を選択するだろう。このタイヤを選ぶと、カラカラ音低減のオプションは選択できなくなるが、ディーゼルの静粛性は、私にとっては現状でも十分だからだ。

また、小さな不満といえば、もうひとつ。身体全体を万遍なく支える、形状的にもよく工夫されたシートなのだが、ドライバーの立場からは、肩のあたりをもう少しフリーにしたいと感じた。背もたれを立て気味にしてポジションを取った場合に、シートが肩を必要以上に“押してくる”感覚があるのだ。運転席のシートであれば、肩の後ろ側のあたりは、むしろあまり支えず、自由にしてくれた方が腕などは動かしやすい。こう思うのは、私だけだろうか。

ただ、シートも含めて、クルマの中に人をどう「収めるか」については、このクルマは十分に吟味されている。いわゆるヒップポイントも、アイポイントとの絡みから、ここがいいという「スイートスポット」があるのだという自信とともに、地上から「600ミリ」という位置が設定された。

スムーズな乗降性も含めて、人の身体に優しいことを前提にしてのレイアウトとパッケージングで、この人間工学からの設定には全面的に賛成する。

ディテールでの気になる点を先に書いてしまったが、このCX-3というクルマは、次代のクルマとしての提案、それを支えるデザインの大胆さと華やかさ、ディーゼルという説得力のあるパワーユニット、そしてSUV系ながらシュアなハンドリングと、評価すべき点が多い注目モデルだ。

指摘した乗り心地にしても、もう少しの滑らかさがあれば、さらにこのクルマは……というレベルでの提言で、それも大径の18インチタイヤ仕様に限定のこと。基本的には「よく曲がる」クルマで、SUV(+クロスオーバー)ながらキビキビと走れる。

そして、そういうセッティングでありながら、足の動きには突っ張った感じや硬さがない。こんな優れた足であるだけに、18インチ仕様の乗り心地だけは、さらに磨いてほしい。そういう意味での希望であり、提言なのだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

家村浩明|ライター&自動車ジャーナリスト
1947年、長崎生まれ。クルマは“時代を映す鏡”として興味深いというのが持論で、歴史や新型車、モータースポーツとその関心は広い。市販車では、近年の「パッケージング」の変化に大いに注目。日本メーカーが日常使用のための自動車について、そのカタチ、人とクルマの関わりや“接触面”を新しくして、世界に提案していると捉えている。著書に『最速GT-R物語』『プリウスという夢』『ル・マンへ……』など。

《家村浩明》

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