【ロールスロイス ゴースト 試乗】タコメーターもパドルシフトも必要ない…松下宏

試乗記 輸入車
ロールスロイス ゴースト シリーズII
ロールスロイス ゴースト シリーズII 全 15 枚 拡大写真

ロールスロイスの主力車種となる『ゴースト』が「シリーズII」へと進化した。『ファントム』に比べると小さいので“ベビーロールス”などと呼ばれることもあるが、いやいやベビーなどではない堂々たるボディを持つ。3サイズは5400mm×1950mm×1550mmなのだ。

LEDヘッドライトなどによる新しいフロントデザインが採用され、これまでと同様に気品や威厳を感じさせる外観デザインだ。近寄り難いオーラを感じさせる外観である。

ゴーストはオーナー自らが運転することも想定したクルマとされている。とはいえ、このサイズのボディは日常的に気軽に使えるほどではない。やはりショーファードリブンとしての使われ方が中心になるだろう。

運転席に乗り込むと、着座位置を高めに設定してもクルマの周囲の直近部分に死角が大きいことを感じる。これはボディサイズの大きさから生まれるものだ。狭い場所でなくても運転するのに相当に気をつかう。

内外装のクォリティは並のクルマの次元を完全に超えている。最高級のグレインレザーや木目パネル、メッキパーツなどをふんだんに採用した内装の仕様は、文字通り豪華な雰囲気にあふれている。

搭載されるV型12気筒の6.6リットルエンジンは420kW/780N・mの圧倒的な動力性能を発生する。それでいて荒々しさを感じさせるような走りではなく、じわっと盛り上がってくるような力強さなのだ。洗練されたパワーフィールなどという言葉では表せない感覚だ。滑らかさ、静かさ、力強さなど、いずれの面でも超一流であることが伝わってくる。

ゴーストを走らせていると、走行シーンによってはタコメーターやパドルシフトが欲しいという気持ちにさせられた。ただ、そのようなものを必要とすることのない、余裕ある走りを味わうべきクルマなのだろう。

足回りは乗り心地を重視した快適そのもののチューニングが施されている。ふわふわした柔らかさではなく、どっとしりと構えた安定感と乗り心地が両立されているのだ。

これはシリーズIIになるに当たって改良が加えられたことに加え、座り心地の良いシートも快適さに貢献している。外界から遮断されてしんとした感じの静粛性と合わせ、ロールスらしさを感じさせる。

試乗車は3132万円の本体価格に1100万円に近いオプションが装着されていた。この価格帯のクルマを買えるユーザー層はごく限られるし、また買えるユーザー層でもロールスの購入に踏み切るには決断が必要となる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  2. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  3. その名の通り1000馬力! 新型スーパーカー『ブラバス1000』発表、AMG GTのPHEVをさらに強化
  4. 日産『エクストレイル』米国版が2026年型に、新グレード「ダークアーマー」設定
  5. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る