【セイワ PIXYDA PNM72F インプレ】低価格&多機能の最新PND、フルセグ&高精細地図で本格機に迫る実力

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セイワ PIXYDA PNM72F
セイワ PIXYDA PNM72F 全 29 枚 拡大写真

かつてのように注目をあつめることはなくなったPND(ポータブルナビゲーションデバイス)だが、その進化は止まっていない。今回取り上げるセイワ『PNM72F』は大幅な性能アップを果たし、かつての高級カーナビを凌駕する域に達している。スマホのカーナビアプリに流れたPNDユーザーを取り戻すことができるかもしれない実力の持ち主だ。

◆スマートフォンのカーナビに疲れた人に勧めたいPND

セイワと言ってもあまり耳馴染みのないひとが多いかもしれないが、カーアクセサリーやカーエレクトロニクス製品の分野では名の知れた企業。主要なカー用品店には、実はセイワの製品が溢れている。企業名は知られていなくても身近な製品を作っている企業はたくさんあるが、セイワもそんな企業の一つといえる。

そのセイワが展開するPNDのブランドが「PIXYDA」だ。「いまさらPND?」という人もいるかもしれないが、侮ってはいけない。セイワでは今回、PIXYDAブランドのカーナビを一挙に5モデルも発表した。PNDの市場がかつてより縮小していることは事実だが、だからといって無くなってしまうわけではない。それどころか、今も根強い需要があるのだ。

PNDの需要を支えているのはスマホを持たない、持ちたくない人たちだと思われているが、一概にそうとはいえない。スマホを使っているが、カーナビアプリを使いたくない、あるいは使っているが、不便なのでPNDに戻りたいという人もかなりいるはず。昨今のカーナビアプリの性能、機能は凄まじいものがあるが、高性能化の代償としてインストールが非常に面倒だったり、通信をつねに行うといった弱点もある。

もっと根本的な問題として、いちいちスマホをクレードルに固定して電源ケーブルを繋ぐのが面倒だと感じている人も多いはずだ。筆者も例外ではなく、長くスマホをカーナビ代わりに使ってきたが、ちょっとお金を出してもいいから、クルマにつけっぱなしにしておけるカーナビが欲しいと思うようになってきた。

前置きが長くなったが、PNM72Fの概要から紹介していこう。前述のとおり、セイワでは一挙に5モデルのPNDを発表したが、本機とその8インチ版である「PNM82F」は、ラインアップのトップに位置するモデルといえる。また、両モデルはオートバックスグループ専売モデルとなっているのも特徴だ。

本機は7インチのディスプレイと8GBの地図データを搭載したPNDとなっている。さらにフルセグのテレビ機能を備え、タッチパネルはスマートフォンと同じ操作感を実現する静電容量式。GPSは準天頂衛星みちびき対応でPNDの要素である位置精度についても信頼性を確保している。更に、従来モデルよりもCPUは2倍、GPUは4倍も高速化されており、スムーズなスクロールやリアルな3Dマップ表示を実現している。

通信機能がないためリアルタイムの渋滞情報は持たないものの、それ以外は非常に充実した機能を持つのが本機の特徴だ。画面を2分割してテレビとナビ画面を同時に表示するといった本格カーナビ顔負けの機能があるし、地図データはトップブランドであるゼンリンの2015年春版をいち早く搭載。開通したばかりの首都高速中央環状線も収録されている。しかも、地図データの3年間無料更新権付きだ。

◆一見して着実な進化を感じさせる

まずクルマに取り付ける。クレードルはゲルを使用した吸盤部分のみ従来モデルを踏襲。ただし本体を固定するアタッチメントは一新された。このアタッチメントが特筆モノで、PND本体の背面にあるスピーカーから出た音を、前面に導くサウンドダクトなるモノが装備されている。単に空洞があるだけなのだが、後で使ってみて効果が絶大であることが分かった。

また、クレードルには専用のカバーが付属しており、これを使うと車外からダッシュボードを見た時のカッコ悪さをかなり軽減できる。こういった低価格のPNDは型どおりにサラッと作ってあって、使う人の立場に立った作りこみが全くなされていないと感じることが多いのだが、本機は明らかに違う。本体にDVDプレーヤーなどを接続できるAV入力や、本機で再生した音楽をカーオーディオから出力できる音声出力端子が装備されていることも、ユーザーの声に耳を傾けていると感じさせる。

本体にはほかにバックカメラ入力やMicroSDカードスロット、B-CASカードスロット、2本のロッドアンテナなどが装備されている。当然ながらB-CASカードも付属しており、最初にこのカードをスロットに入れることから取り付けが始まる。フルセグTV搭載のPNDはすでに珍しくないが、実際にB-CASカードを差し込むと、PNDもここまできたかと感じずにはいられない。

巨大な吸盤はシボの深いダッシュボードでも問題なく取り付けでき、安定感も高い。角度調整の範囲も広く、本体の固定は簡単だ。実際に取り付けてみて、妙にすっきりとしていることに気がついた。そこでスペックを改めて調べてみると、本機は先代モデルよりもかなり小型化されていることがわかった。横幅が先代モデルは193mmもあったのに対し、本機は177mm。ディスプレイサイズは同じなので、ベゼルの幅が狭くなったということだ。ベゼルの幅が狭いとすっきりとして見えるし、高級感もアップする。シガーソケットから電源を繋げば、取り付けは完了だ。

◆4ルート同時検索に対応、タッチパネルの質感も高い

キーをオンにすると電源が入り、地図画面が、といいたいところだが、まずメニュー画面が起動する。設定で地図画面から立ち上がるように変更できるので、まず最初に変更しておいたほうがいいだろう。地図画面が表示されたら、メニューから目的地を検索する。

目的地検索のメニューはごく一般的な住所、名称、電話番号などのほか、駅名検索や緯度・経度といった変わったものも用意されている。目的地を検索すると地図でその場所を表示するが、ここで表示される「周辺施設」ボタンをタップすることで、目的地周辺の駐車場やコンビニなどを探すことも可能だ。

ルートは「おすすめ」「有料優先」「一般優先」「距離優先」が同時に検索される。この辺りの操作性は非常に優れている。ルートガイドも同様で、音声案内は流暢で聞き取りやすいし、交差点拡大表示、インターチェンジや大きな交差点のイラスト、方面看板、レーンガイドなど、ガイド機能はフル装備だ。総じてルートガイドは分かりやすく、格安ナビにありがちな不親切さはほとんどない。

本機のセールスポイントにもなっている静電容量式のタッチパネルも操作性は良好だ。公平にいえば感圧式がダメで静電容量式がいいということはなく、それぞれ特徴があるのだが、いかんせん、筆者を含めてほとんどの人は、スマホやタブレットの操作に慣れている。そのため、感圧式だと強めに押さなければならなくて戸惑うことが多い。その点、本機はスマートフォンの操作感そのままだ。

わざわざ日本国内メーカー開発のタッチパネルを使用と謳っているだけあって、操作に対する反応は安定感があり、安っぽさを感じさせない。軽く指をはらうだけでサーッと地図が流れ、使っていて気持ちがいいほどだ。指2本でのピンチイン/アウト操作も可能。ただ、地図を回転させる操作については、回転用のボタンをタップする必要がある。

本機はゼンリンの地図データを使用しており、3Dの美しいグラフィックも特徴となっている。3D表示にすると上空から前方を見下ろしているような視点になるが、その見下ろす角度を自由に設定可能。地図を50m以上にズームインすると建物が3Dポリゴンで表現され、それも表示/非表示をワンタッチで切り替えられる。

◆オービス警告や観光ガイドも使える

本機は何も考えずに使い始めればオービスへの接近を警告してくれる。音声と画面の表示で知らせてくれるので見落とすことがなく、この機能を必要とする人には極めて有効だ。音声は警告音に変更することもできる。もちろん、この機能を必要としない人は、警告そのものを無効にすることも可能だ。

また、過去のデータを元に、取り締まりの行われる可能性の高いポイントや事故多発地点を警告する機能も搭載されている。さらに急発進を警告したり、ライトの点灯案内、休憩案内と言った機能まである。さすがにおせっかいが過ぎるが、もちろんすべての機能は個別に愉香にすることができる。

本機にはガイドブック「るるぶ」の観光地情報も収録されている。そのデータ量は観光ガイド170冊分、収録されているスポットは6万件と豊富だ。こういった機能をまったく使わない人も多いようだが、ドライブや旅行で使ってみればやはり便利だと思うはずだ。

◆さすがフルセグ! 高画質のテレビ放送を楽しめる

カーナビ以外の機能が豊富なのも本機の特徴だ。中でもフルセグTVは特筆すべき特徴といっていいだろう。さっそく視聴してみたが、やはりフルセグは高画質だ。カーナビのTV機能というとワンセグが当たり前だが、7インチクラスのディスプレイでワンセグの画質はかなり厳しい。これは実感している人も多いだろう。本機のフルセグを見てしまうと、ワンセグにはもう戻れない。

ただ、フルセグは電波状態がよくないと受信できない。そのため本機はロッドアンテナを2本装備している。それでも受信感度が足りない時は、オプションのプリントアンテナを使用することも可能だ。

テレビは全画面に表示させることもできるし、画面を左右2分割して、ナビ画面と並べて表示することもできる。全画面表示でもバックグランドでナビは継続的に案内を行い、再度テレビの画面をタッチすれば、2画面に戻る。

テレビと並ぶメディア機能として、本機には音楽/動画/写真の再生機能もある。対応ファイルは音楽がMP3とWAV、動画がAVI、MP4、MPG、写真がJPG、BMP、PNGとなっている。

色々なファイルを再生してみたが、音楽ファイルについては使い勝手がよく、車内で使う常用プレーヤーとして問題なく使える。プレーヤー画面から「ナビ+プレーヤー」の2画面にダイレクトにジャンプできるし、もちろん、ナビを全画面に表示したまま音楽再生を続けることも可能だ。

クレードルに装備されたサウンドダクトの効果も高く、カーオーディオに接続しなくてもそれなりに聞ける音になっている。このダクトは背面のスピーカーの音を正面に方向転換させるものだが、実際の効果はむしろ低音を増強するブースターと考えたほうがいいようだ。

一方、動画再生機能はかなり圧縮率の高い動画もスムーズに再生できるし、手持ちのファイルで試してみた範囲では、対応ファイルのフォーマットを選ぶということもない。欲を言えば、ナビ画面と2画面表示にも対応して欲しかった。また映像を中断したところから、再生できるレジューム機能もあればさらに使い勝手は高まるはずだ。

スマホナビの進化も著しいが、PNDも大画面化・AV機能面の強化・地図の精細化など、専用機ならではのメリットを活かして進化を遂げていることが分かった。ビルトインナビと同程度の7インチ大画面にハイスペックCPU/GPUを組み合わせてレスポンス面でも申し分ない。強力な商品力をもつ本機はリーズナブルでも高機能を求める欲張りなユーザーに受けそうな注目モデルといえるだろう。

《山田正昭》

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