「レットブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」に唯一のアジア人として参加するのが福島出身の室屋義秀選手。これまでにも日本国内でエアロバティックスのフライトを数多く行い、空と飛行機への魅力を紹介してきた第一人者だ。
エアレースはパイロットの腕と度胸だけでなく、機体そのものの仕上がりで勝敗が決まるとも言われているが、2014年からはエンジンとプロペラが共通化。腕と度胸は各パイロットとも僅差であるため、機体がより重要視されるようになった。室屋選手は、エアレースの千葉大会から新しい機体「EDGE540 V3」を導入する。
すでにV3を導入しているチームもあり、室屋選手は旧型となった機体で厳しい戦いを強いられてきたが、期待の新型機導入。室屋選手は「前のアブダビまで使用していたのはEDGE540のV2というモデルですが、今回のV3はEDGEの最新モデルであり、V2と比べた場合は50kg以上の軽量化を実現している。軽くなったので、より速いスピードで飛べるようになった」と語る。
同じV3でも、実際には「室屋スペシャル」といった改良が施されており、エンジンカウルからキャノピーまでが絞り込まれており、空気抵抗が小さくなった。室屋選手も「V3.5ぐらいになっているので、良くなっているはず。本格的に飛ばすのはこれからだけど、どの程度のタイムが出てくるのかは楽しみ」とする。旋回性能と、旋回後の加速性能がV2よりも格段に向上しているようだ。
一方で「空気抵抗を減らす目的でキャノピーが小さくなったので、操縦席はちょっと窮屈な感じになった」とのこと。キャノピーのスリム化に合わせて、ヘルメットも今までより若干薄いものに変えたという。
優勝への期待も高まるが、室屋選手は「パイロットの腕は拮抗していて、ほんの僅かなミスか、あるいはちょっとした幸運で勝負が決まるのが今のエアレース」とする。観客に対しては「エアレースを通じてスカイスポーツだとか、空や飛行機への魅力を感じていただけたらとてもうれしい」と話していた。