川崎重工業は、舶用ディーゼル主機関から排出される窒素酸化物や二酸化炭素などの大気汚染物質を複数の環境対応技術の組み合わせによって削減するシステム「K-ECOS」の開発に成功した。
K-ECOSは、2サイクルディーゼル機関（7S60ME-C8.2）に搭載して試運転し、性能を確認した。
国際航海に従事する船舶からのNOx排出量は、国際海事機関（IMO）が段階的に規制を強化している。舶用ディーゼル機関からのNOx排出量は、2011年から適用されている2次規制下では、1次規制値比で15～22％削減が義務付けられている。2016年からの3次規制では、指定規制海域において1次規制値比80％のNOx排出量の削減が義務付けられる。
今回開発した「K-ECOS」は、舶用ディーゼル主機関の過給機カット運転、水エマルジョン燃料、排気再循環（EGR）を組み合わせたシステム。2次規制海域の航行中、過給機カット運転による燃費向上と水エマルジョン燃料によるNOx排出量を削減、従来の2次規制対応機関と比較して、燃料消費量とCO2排出量を大幅に削減できる。
また、3次規制海域を航行する際、EGRを追加することで、2次規制対応機関との比較で燃料消費量とCO2排出量を増加させることなく、NOx排出量を3次規制値まで削減できる。
今回神戸工場で完成した「K-ECOS」は、2サイクルディーゼル機関に搭載され、川崎汽船が運航、ジャパンマリンユナイテッドが建造する大型自動車運搬船の主機に搭載し、約2年間の実船試験を行う。