【人とくるまのテクノロジー展15】欧州と日本、自動車産業を巡る国家間競争の行方は

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「グローバル自動車産業の現状と将来課題―自動車産業の競争優位の変化と日系自動車メーカーの戦略と課題」
「グローバル自動車産業の現状と将来課題―自動車産業の競争優位の変化と日系自動車メーカーの戦略と課題」 全 6 枚 拡大写真

5月20日パシフィコ横浜にて人とくるまのテクノロジー展2015が開催された。
同展内では「2050年の社会情勢を見通した交通システムと自動車用動力の方向性―将来の自動車社会にどのように備えたらよいか―」と題した春季大会フォーラムが開催された。

「トヨタ対VW」著者が語る、2050年を見据えた自動車戦略

このフォーラムではナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹氏が「グローバル自動車産業の現状と将来課題―自動車産業の競争優位の変化と日系自動車メーカーの戦略と課題」と題し講演を行った。

中西氏は冒頭、「2000年というのは自動車業界にとって仕組みや価値が変わった重要な年であり、2025年の世界というのはそれから50年後の世界である2050年との折り返し地点といえる。2025年も連続的なものとして見据えることができる」と述べたうえで、現在の日本の自動車メーカーと経済政策の在り方について、つぎのように警鐘を鳴らす。

「2013年に出版した『トヨタ対VW』で欧州の戦略がトヨタをどのように封じ込んでいくか、今後(日本企業は)何をしていかなければならないかについて述べ、VWに対してトヨタの進むべき道を論じた。そのときに出てきた答えは、ものづくりだけに大きな競争力を見出していく時代ではないということ。欧州における自動車戦略であるオープン化や標準化を日本企業が乗り越えていかなければならない。そして、この際に国家間競争に挑む体制が重要となってくる」。

◆勝っている仕組みを理解することも重要

中西氏は「トヨタも2018年にかけて成長力が伸びる再生の時期が来る。2025年くらいまでを見据えると、“やっぱり従来の方法でよかったじゃないか”と思う様な時代が続くと思う」と継続的な成長が続くとみる。しかし、その成長の要因は、「過去の勝ちパターンの遺物。思い起こせばGMもそうだった」と楽観視を許さない。

「80年90年代に行きづまったと言いながら、2000年代も勝ちすぎていたがゆえに、そのあとで墓穴を掘ってしまった。ですから勝っている仕組みを理解することも重要で、いまトヨタ一本足で日本を支えるような経済政策は危険だと思います」。

《北原 梨津子》

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