NEDO、水素社会実現に向けて4つのプロジェクトをスタート

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左から三菱重工業の平本康治常務執行役員、大林組の三輪昭尚取締役専務執行役員、NEDOの土屋宗彦理事、川崎重工業の門田浩次常務執行役員、千代田化工建設の清水良亮取締役常務執行役員
左から三菱重工業の平本康治常務執行役員、大林組の三輪昭尚取締役専務執行役員、NEDOの土屋宗彦理事、川崎重工業の門田浩次常務執行役員、千代田化工建設の清水良亮取締役常務執行役員 全 2 枚 拡大写真

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は6月9日、水素社会構築のための技術開発事業について記者会見を行った。その中で土屋宗彦理事は「水素が将来有望な2次エネルギー」と強調し、今年度から4つのプロジェクトを開始することを明らかにした。

その4つとは、まず未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業だ。豪州の未利用エネルギーである褐炭を用いて水素を製造し、貯蔵・輸送・利用までが一体となった液化水素サプライチェーンを構築しようというものだ。その実現のために、褐炭ガス化技術、液化水素の長距離大量輸送技術、液化水素荷役技術の研究開発を実施する。参加企業は川崎重工業、岩谷産業、電源開発の3社で、2020年の実証運転を目指す。

2つ目が有機ケミカルハイドライド法による未利用エネルギー由来水素サプライチェーン実証。つまり、未利用資源から製造した水素をトルエンに化学的に付加し、常温・常圧の液体化学品であるエチルシクロヘキサンに転換して貯蔵輸送を行い、使用場所で脱水素反応により必要な量の水素を取り出して供給するというサプライチェーンの構築を目指すものだ。参加企業は千代田化工建設で、20年に実証運転の予定だ。

3つ目が水素コジェネレーションシステム活用スマートコミュニティ技術開発事業。これは水素を燃料とする1MW級ガスタービンを有する発電設備を用いて、地域レベルでの電気、熱のエネルギー効率利用を目指す新エネルギーシステム(統合型EMS)の技術開発、実証を行うというものだ。参加企業は大林組、川崎重工業で、17年の実証予定。

そして、4つ目が低炭素社会実現に向けた水素・天然ガス混焼ガスタービン発電設備の研究開発だ。これは既存の発電所に適用可能な天然ガス・水素混焼ガスタービンの燃焼器の研究開発を行い、水素混焼プラントの基本設計を確立しようというもの。そのために、燃焼解析の高度化、要素試験、燃焼試験などに取り組み、機器の改良設計・シミュレーションも行う。参加企業は三菱日立パワーシステムズ、三菱重工業で、18年に実現予定だ。

「この中には競合となる企業がありますが、大きな目標に向かってオールジャパン体制で取り組んでいくつもりです」と土屋理事は力説し、2030年頃の水素大量利用時代を見据え、2020年には何としても実証試験を成功させ、軌道に乗せたい思いのようだ。

《山田清志》

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