【日産 エクストレイル ハイブリッド 試乗】 車重も気にならない活発なパフォーマンス…吉田匠

試乗記 国産車
日産 エクストレイル 20X ハイブリッド ”エマージェンシーブレーキパッケージ”
日産 エクストレイル 20X ハイブリッド ”エマージェンシーブレーキパッケージ” 全 8 枚 拡大写真

日産のSUV、『エクストレイル』に加わったハイブリッドモデルに、横浜で乗ってきた。エクストレイルはもともと5ナンバーサイズで登場したクルマだが、この3代目、やや高めの運転席に収まって走り出すと、駐車場から出ようとするときなどにちょっとデカイなという印象を受ける。全長の4670mmはともかく、1820mmの全幅がそう感じさせるのだ。

ハイブリッドシステムは日産独自の「インテリジェントデュアルクラッチコントロール」と呼ばれる1モーター2クラッチのパラレル方式で、41psの電機モーターが147psの2リットル直噴直4エンジンと組み合わせられる。このシステム、モーター走行からエンジン走行への切り替わりがスムーズという特徴を持つとメーカーは主張するが、たしかにそのあたりの違和感はない。ちなみにトランスミッションはエクストロニックCVTである。

したがって、街中の発進とその直後の加速もスムーズに進められるが、それにも増して印象的だったのは、パフォーマンスがなかなか活発なことだった。ハイブリッドモデルの場合、車重は1640kgあるが、スロットルを深めに踏み込むと、ブーンというエンジンの乾いたノイズを奏でながら、背の高いボディを気持ちよく加速させていく。これなら高速道路を使ったクルージングも、余裕ではないかと推測できる。

もうひとつ印象的だったのは、ハンドリングがシャキッとしていることだった。フロントがストラット、リアがマルチリンクのサスペンションは、SUVとしては硬めなこともあって、ステアリング操作に大きな姿勢変化なしに追従して、コーナリングをこなしていく。

その反面、街中の低速域でタイヤから硬めのショックが伝わって来るのが気になったが、その原因は空気圧にあるらしい。燃費の向上を狙ったこともあって、エクストレイルハイブリッドのタイヤは前2.8kg/後2.7kgという、高い設定なのだという。それと、回生の影響でブレーキフィールに若干ムラを感じることがあったのも、気になった点のひとつだ。

その一方で、もともとエクストレイルが得意としていたオフロードで、この硬めの脚がどんな動きをするのか少し気になったところだが、今回の試乗は都会の舗装路に限られたため、その点は確認できなかった。多くの同類がそうであるように、エクストレイルも都会派に傾きつつある、ということだろうか。

ハイブリッドはリチウムイオンバッテリーを搭載しているため、荷室全体をウォッシャブルに設定してはいないが、初代から受け継ぐ水洗いできるシートはハイブリッドモデルにも採用されている。エクストレイル伝統の質実剛健は、継承されているというわけだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

吉田 匠|モータージャーナリスト
1947 年生まれ。子供の頃からのクルマ好きが高じて、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。同誌ではスポーツカーのロードテストなどを主として担当し、ヒストリックカー、ツーリングカー、FJなどのレースにも参戦、優勝経験もけっこうあり。後にフリーランスのモータージャーナリストとして独立。自動車専門誌や一般誌に記事を執筆し、今日に至る。旧いクルマに造詣が深く、愛車の一台は1962年ポルシェ356B。

《吉田匠》

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