モトクロス競技用の『YZ250F』をベースに、エンデューロレーサーに仕立て上げた『YZ250FX』。
サイドスタンドやエンジンガードの標準装備だけでなく、セルスターターを搭載したことで、ガレ場や坂などキックアームだけでは始動が困難なケースでもすぐにリスタートが可能となり、より実戦での戦闘力を増している。
アップ&ダウンのあるマウンテンコース「モトスポーツランドしどき」(福島県いわき市)で乗ってみると、5速だったミッションが6速化され、ワイドレシオになっていることがわかる。忙しないシフトチェンジは不要で、急坂も力強く登っていく。
YZ250Fベースの水冷4バルブエンジンだけあってパワーは申し分ない。YZ250Fと乗り換え、そのままのハイペースでモトクロスコースを周回すると、高回転域でレブるのが若干早いが、エンデューロなら粘り強く発揮する潤沢なトルクを武器に難コースもアグレシッブに、そして淡々とクリアしていけるはず。
荒れたセクションもリア18インチ+路面追従性を向上した足まわりのおかげで楽々クリアでき、YZ250Fの軽快感・すばしっこさに、乗り心地の良さや安定感がプラスされた感覚だ。
ハードブレーキが必要になる下り急坂からのコーナーリングセクションでも、リアがドタバタ跳ねることなく、確実に減速し、しっかり向きをかけてくれる。
寝かし込む際に重さを感じることはなく、ヘッドライト付きの同社のエンデュランサー「WR250F」よりハンドリングはだいぶ軽くなった。
ボタン1つで始動でき、乗りやすくて速い。エンデューロ派はもちろん、モトクロスでファンライドを楽しむ層にも受けそうだ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
戦闘力:★★★★
足着き:★★
オススメ度:★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。