アポロ15号計画で回収した月表層の岩石試料から高圧相を発見

宇宙 科学
アポロ15号の宇宙飛行士が地球に持ち帰った月表層の岩石試料
アポロ15号の宇宙飛行士が地球に持ち帰った月表層の岩石試料 全 1 枚 拡大写真

広島大学大学院理学研究科の宮原正明准教授、東北大学大学院理学研究科の大谷栄治教授、千葉工業大学の荒井朋子上席研究員らを中心とした研究チームは、アポロ15号計画で回収された月表層の岩石試料(アポロ試料)から高圧相を世界で初めて発見した。

研究チームは、アポロ15号計画で回収された月表層の岩石試料からシリカ(SiO2)の高圧相であるスティショバイトを発見した。スティショバイトが生成するには、少なくとも8万気圧以上の超高圧力条件が必要であることが分かっている。

こうした超高圧力状態が地表で発生するのは、巨大な物体が高速で激突した際に限られ、小天体が月に衝突した場合以外には考えられない。地球上での小天体の衝突跡とされるクレーター周辺の岩石からもスティショバイトが発見されている。

月にも小天体の衝突跡と考えられるクレーターが多数存在するが、アポロ計画で回収された月表層の岩石試料からはこれまではスティショバイトは見つかっていなかった。そこで、研究チームがアポロ15号の宇宙飛行士が持ち帰った月表層の試料を、ナノ分析装置で調べたところ、スティショバイトの存在を世界で初めて突き止めることに成功した。

研究チームはこの岩石試料に含まれる物質(鉱物)の種類や化学組成から、このスティショバイトは、月の巨大な海の1つである、「嵐の大洋(プロセラルム盆地)」の形成に関与した無数の天体が衝突したうちの1つに伴って生成したと推定している。

今回の研究成果は、米国鉱物学会が発行する米国鉱物学雑誌にハイライト論文として掲載されたほか、今後、アメリカ科学振興協会(AAAS)が発行するScienceでも紹介される予定。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 三菱『デリカミニ』がフルモデルチェンジ!「やんちゃ坊主」感アップ、走りも三菱らしく進化
  2. 【日産 ルークス 新型】「ルークスはパイクカー」開発デザイナーが立ち返った“軽ならではのデザイン”とは
  3. キティ好きは要注目! 使うならかわいい方がイイ♪. 新作キャラクターグッズが続々登場![特選カーアクセサリー名鑑]
  4. 世界初、個人所有できるレベル4自動運転「ロボカー」誕生、2026年に納車開始
  5. 『マツダ3』、米2026年モデルで「ハーモニックアコースティクスオーディオ」を標準化
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る