自転車ヘルメット義務化の是非…「安全な道づくり」の必要性も

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2008年にクラブの行事で信州をツーリングしたときのワンカット。ノーヘルの証拠写真だ
2008年にクラブの行事で信州をツーリングしたときのワンカット。ノーヘルの証拠写真だ 全 4 枚 拡大写真

20年近く前の話です。僕が自転車ツーリング雑誌の編集部にいたとき、表紙を飾る写真について部内で熱い議論を交わしました。なぜでしょうか? 実は落ち葉を踏みしめて山道を下るモデルが、ヘルメットをかぶっていなかったからです。

【画像全4枚】

自転車の専門雑誌で、しかも編集部の責任で撮影した写真がノーヘルだなんて、今ならとても考えられません。ですが少なくともツーリングの世界では、まだヘルメットは一般的ではありませんでした。のみならずロードレースにおいても、UCI(国際自転車競技連合)の規則でヘルメットの着用が義務づけられたのは2000年代になってからでした。

ところがMTBでは、かなり初期の段階からヘルメットをかぶるのが当たり前。ということでMTBで自転車を始めたU氏が、校正作業の際に「山道のように転倒の危険があるところではヘルメットをかぶるべきで、それを自転車雑誌が守らないのは…」と主張したのも当然のことです。それに対し、「競技ではないから、山道は慎重を期してゆっくりと下る。仮に転倒しても落ち葉が厚く積もっていてケガをすることはない」というのがO氏の主張。僕は心情的にはO氏に近かったものの、U氏の考えに一理あると納得。すったもんだの末、ヘルメット写真の合成を印刷所に頼むことになりました。
当時、僕自身はヘルメットを所有していました。ただし、それは着用が義務づけられた全日本マウンテンサイクリングin乗鞍に参加するためで、落車による骨折や頭部打撲を経験していたにもかかわらず、それ以外ではかぶらないで走ることもままありました。なぜでしょうか。ヘルメットをかぶるのが、かっこ悪いと思っていたのが第一です。

中学生の頃に義務でかぶらされていたヘルメットは、危険な場所で働く人たちがかぶるような実用本位のものでしたから、ヘルメット=かっこ悪いという固定観念が身についていました。自転車ツーリングに目覚めてからの僕は、「自由の翼を手に入れた」かのような思いにかられていましたから、それを束縛するものというイメージもあったわけです。

その意識が変わり、必ずヘルメットをかぶるようになったのは、たかだか6、7年前のこと。特にきっかけがあったわけではありません。ロードバイクを購入した時期と重なっていますから、ロードに乗るときにはヘルメットが必須だと考えたのでしょう。さらにロードバイクを手に入れてからは都内への移動など自転車に乗る機会が目に見えて増えましたから、ヘルメットをかぶるのが通例となり、やがてツーリング車に乗るときもヘルメットをかぶることへの抵抗が薄れ、それが高じてかぶらないことに違和感を覚えるようにもなりました。
この6月には著名人が参加する「自転車ヘルメット委員会」が発足し、着用推進のためさまざまな取り組みを進めることになりました。一方で義務化については免許制度と同様に懐疑的な声が上がり、自転車ツーキニスト疋田智さんのメールマガジンでも先進国オランダは、ヘルメットをかぶらなくてもいい安全な道路を作ろうとしていると紹介されています。

ヘルメットを唯一絶対の解とせず、身を守るためにどのような選択をすべきかを自発的に考えること。それが必要だと思います。

【澤田裕のさいくるくるりん】自転車にヘルメットは必須なのか?

《澤田裕@CycleStyle》

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