鉄道サービスから消防車、シューズまで…工業デザインの幅広い世界を紹介

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基調講演をするヴィータサロ・ユホ
基調講演をするヴィータサロ・ユホ 全 9 枚 拡大写真

鉄道をはじめとした身近な製品を題材に、そのデザインを紹介するイベントが6月27日、グランフロント大阪ナレッジキャピタルで開催された。ヤマハやJR西日本などの「乗り物」に関わる企業をはじめとした5人のデザイナーがスピーカーとして登壇している。

このイベント『Design is around us. あれをデザインした人!』は、工業デザインの世界的組織ICSIDが提唱する世界同時多発イベント「World Industrial Design Day 2015」に合わせ、JIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)の関西ブロックが主催したもの。会場はおよそ100人の聴衆で埋まった。

イベント名称は「日常生活でなにげなく使う製品にも、デザイナーのいろいろな工夫やメッセージが込められている」ということを表現している。イベントはフィンランド出身のデザイナー、ヴィータサロ・ユホの基調講演からスタート。「工業デザインとは、技術、美学、ユーザビリティ(使い勝手や使用感)の組み合わせだと思っています」。

その後は5人のデザイナーが登壇。西日本旅客鉄道(JR西日本)車両部・車両設計室の大森正樹課長は「鉄道サービスをデザインする」というタイトルで、広島を中心とした路線に投入される新型車両、227系『レッド・ウィング』を紹介。

また車両の内外装デザインだけでなく、広島地域やJR西日本のブランド価値を向上させるために、サインシステムや接客サービスなどあらゆる領域をデザインした事例が紹介された。「企業とお客様をつなぐものがデザインです」と大森課長。

モリタホールディングス技術研究所・研究開発室の濱田貴行デザイナーは、「消防車は目的に応じて多様なデザインがあります。デザイン作業は、まず現場を知ることから」と解説。さらにユーザーの要求に応えるだけでなく「消防隊員は街のヒーロー。だから大衆から頼りに感じてもらえるようにすることも、デザイン要件です」とのこと。

このほかGK京都の井上聡副社長は、ヤマハ発動機のロゴマークの変遷を紹介。時代やメーカーを取り巻く環境の変化、ブランドが発信したいメッセージの移り変わりとともに、商品に描かれるロゴマークのデザインもチューニングが繰り返されてきたことが明かされた。

またY INC.の三宅喜之デザイナーは、イクメン向けの抱っこひも兼ボディバッグ『ダッコリーノ』の開発ストーリー、ミズノの家田敢デザイナー(グローバルフットウェアプロダクト本部企画デザイン部デザイン課)は野球シューズの新製品開発プロジェクトの裏話を披露。

紹介された事例は身に付けるものから公共交通ネットワークまでと幅広いが、「デザインする」ということは単純に「モノの形や色を決める」ということではなく、使用環境や関わる人など、すべての要素を勘案することだという基本的な事実を、あらためて実感する機会となった。

《古庄 速人》

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