【トヨタ シエンタ 発表】開発者が語る、12年越しの進化と使いやすさへのこだわり

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トヨタ シエンタ 新型と チーフエンジニアの粥川宏氏
トヨタ シエンタ 新型と チーフエンジニアの粥川宏氏 全 54 枚 拡大写真

上質で機能的なスタイルに変化

2003年にデビューした初代『シエンタ』は2BOXに匹敵する取り回しのしやすさと両側スライドドア、必要であれば7人が乗車できるパッケージ、そして片手でポンの簡単シートアレンジを備えたトヨタ最小ミニバンだった。

ロングセラーな日本車のひとつであり、11年目にいったんカタログから姿を消したものの、復活を望む熱烈な声に応え、シエンタ、そしてちょっぴり男っぽい『シエンタダイス』という布陣で再デビューを果たした経緯があるロングセラーモデルである。なにしろモデル末期でも月/1000台のペースで売れていたというのだから、その人気は根強かった。

12年ぶりのフルモデルチェンジを行なった新型シエンタは「ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」がテーマ。

全長で115mm、全高で5mm、ホイールベースで50mm拡大したボディデザインは先代とは別物で、スライドドア車=箱型という概念を打ち破る「アクティブ&ファン」なスタイリングを実現。『プリウス』を『プリウスα』というミニバン/ワゴンに進化させた経験もある製品企画本部・チーフエンジニアの粥川宏氏によれば「トレッキングシューズをイメージし、活動的な女性、山ガール、男性、シニア層にも乗ってもらえる機能的なデザインを追求し、ファーストカーとしても乗ってもらえる上質さ、オシャレさをちりばめ、アクティブさと使いやすさを両立させた」というユニセックスな存在感が新しい。ボディ随所に配された、SUVを思わせるパネル類は標準の無塗装の黒に加え、フレックストーンとしてブルーメタリック、ブラウンパールが用意されるのも特徴である。

◆待望のハイブリッド設定、パッケージングがもたらす快適性

しかし、それ以上の新型シエンタのハイライトと言えるのが、待望のハイブリッドモデルの追加だろう。「ハイブリッドはユーザーの声から設定しました。トヨタのスペース系コンパクトモデル初のハイブリッドで、『アクア』用を専用化して使っていますが、ローギヤ化&モーターの水冷化でシエンタに対応させています」(粥川氏)。

燃費性能は1.5リットル、109psのアトキンソンガソリンエンジンモデル(アイドリングストップ付き)で最高20.6km/リットルという、ライバルのハイブリッド車に迫る数値であり、1.5リットル+2モーター、システム出力100psのハイブリッドモデルに至っては27.2km/リットルと他を圧倒する(いずれもJC08モード燃費)。

新型シエンタは低床&フラットフロアを採用したパッケージングも自慢だ。室内長を20mm、室内幅を40mm拡大したほか、スライドドア部分はステップの高さが先代の385mmに対して330mm(2WD車)とごく低くなり段差なく、開口幅は先代比+50mm、開口高+10mmと、子供や犬、両手に荷物を持った状態でも乗り降りは極めて容易。テールゲート側の開口高も先代と同じ地上505mmと低く、重い荷物の出し入れ、犬の乗降も快適そのものである。

さらに注目すべきはハイブリッドバッテリーの配置。シエンタの開発に携わる製品企画本部・製品企画主幹の渋谷友次氏によれば「ガソリン車とハイブリッド車のパッケージングを変えないことが命題でした。普通にやればラゲッジのフロア下にバッテリーを積みますが、そうするとラゲッジの使い勝手、容量が変わってしまう可能性がある。そこで新型シエンタでは先代にあった2列目席床下の収納部分を生かし、そこにバッテリーを配置しました。だからラゲッジの使い勝手がガソリン車とハイブリッド車でほとんど変わらないのです」。

◆進化したシート、使い勝手やスペースが向上

このクラスのミニバンでは格納しラゲッジを拡大して使われるケースが多い3列目席もグレードアップしている。「先代のユーザーの70%の方が3列目席を格納して使っていました。しかし新型では、3列目席格納時にすっきり2列目席の下に入る好評のダイブイン方式を新たに斜めダイブイン方式にして採用しつつ、3列目席を充実させました。具体的には3列目席開口幅を広げより乗り降りしやすくなり、ひざ回りスペースをホイールベースの延長や2列目席背もたれの薄型化などによって先代より20mm増やし、さらに12年前より進化したシートの製造方法から、子供はもちろん、大人でもしっかり快適に乗れて座れる3列目席としたのです」(粥川氏)。

5:5分割独立式のシートサイズも拡大している。先代は小ぶりの2座が離れてレイアウトされていたが、新型ではシート幅をなんと70mmも拡大し、同時にベンチ風に改めたことで、実際に座った厚み感ある上質なかけ心地に加え、空間のゆとりも大きく向上している。

もちろん、より使う機会が多いはずの36度リクライニング機構を持つ2列目席居住空間も格段に広くなっている。設計上のひざ回り空間は25mm増しだが、実際に身長172cmのリポーターのドライビングポジション背後のひざ回り空間は、中型ミニバンに匹敵する220mm。先代と違い、フロアにシートスライド用のレールがなくなり(シート台座のみが105mmスライドする)、足元フロアがすっきりしたもの居心地、快適性を大きく高めてくれるポイントだ。

◆安全装備も充実、さまざまなユーザーに向けて

運転席回りのオシャレなデザイン、カラーコーディネイト、収納の使いやすさ、豊富さもまた大きな魅力である。

さらにトヨタ最新の先進安全装備、レーザーレーダーと単眼カメラを使った衝突回避支援パッケージを含むトヨタセーフティセンスCが用意されているのも心強く、普通のクルマのように使える車椅子仕様車進化も見逃せない。

「新型シエンタはヤングファミリーから趣味を楽しむシニアまで、幅広いユーザー、コンパクトなサイズを生かし都会に住む方にもぴったりの、2BOX+スライドドアのワゴンとしても使えるトヨタ最小ミニバンです。エクステリアはアクティブ、インテリアはリビング。デザインコンセプトの新しさもぜひ注目してほしいですね」(粥川氏)。

低床プラットフォーム&多彩なシートアレンジを持つ新型シエンタは、先代以上により幅広いユーザーにコンパクトミニバンならではの使いやすさ、便利さ、扱いやすさを、新鮮なデザインとパッケージングによってもたらしてくれるに違いない。

《青山尚暉》

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