フルモデルチェンジして2代目になったトヨタ『シエンタ』は、先代の運転のしやすさは引き継ぎつつ、ジェンダレスなデザインにこだわったクルマである。
「12年前にデビューした初代シエンタの良いところはしっかり引き継ぎながら、時代進化分をリファインしてデザインしようと考えた」とは、トヨタ自動車デザイン本部トヨタデザイン部主幹の郷武志さんの弁。
シエンタは、トヨタのラインナップの中で最もコンパクトなミニバンで、「ユーザーからは運転しやすい、使いやすいクルマだと評価された」と強みを述べる。そこで、「大きなミニバンを小さくしたのではなく、ハッチバック派生のミニバンというデザインや、主に2列、ときどき3列シートを使うというマルチパーパス性が、性別問わず様々なユーザーに訴求できるポイントではないかと捉え、車輛をコンパクトに見せるようなデザインは引き継いだ」とコメント。
そして進化させた部分として、想定ターゲットである30代のヤングファミリーの志向が12年前と変化してきていることを挙げる。初代シエンタのデザインコンセプトは“ヒーリングモダン”だった。「優しさ、癒しをデザインキーワードでデザインしていたのに対して、今回は“Active & Fun”。もっと主張の強いもの、個性が出るものをテーマにした。そういったものを求める方向に30代ヤングファミリーは変わって来ていると想定した」と説明。
もうひとつ変化させたことについて郷さんは、「初代シエンタのデザインは全体に好評ではあったものの、男性からは少し可愛いなという声も聞こえていた」という。『シエンタダイス』では、男性からも比較的好評だったことから、「今回は、ジェンダレスなクルマにしたいと考えた。例えばiPhoneなど性別に関係なく使われている商品があるので、クルマもそういうトライが出来るのではないかという想いで、今回はデザインしている」と語った。