静岡・伊豆半島と千葉・房総半島の間に挟まれた「伊豆諸島最大の島」、大島。7月初旬、レンタカーで都道208号「大島一周道路」を走ったところ、素朴な疑問と「農道のポルシェ」の楽しさを“偶然”にも体感した。
所用でレンタカーが必要だったため、大島・岡田港に到着後、地元のレンタカー店に問い合わせると、「乗用車タイプはもう予約でいっぱいで、軽のハコ型ならあるよ」という返事だった。
「仕方ない」という思いでその店に行くと、そこに待っていた白い軽ワンボックスは、スバル『サンバー』。それも、スバル製の最終版だった。
リアエンジン・リアドライブ(RR)+四輪独立懸架サスで、「農道のポルシェ」などともいわれたサンバー。キーを回すと、(3気筒ではなく)4気筒エンジンがリアゲート下付近で静かに回りだす。
広々とした室内空間をほとんど使わず、元町港から大島一周道路を南下し、大島の南端に位置する波浮港へ。アップダウンとカーブが続く道を15km、30分ほど走らせると、後輪にエンジンの荷重がかかりながら粘り強く駆動する感覚を味わえた。
大島一周道路をサンバーといっしょに走って感じたのは、その走りの違いに加えて「なんで?」という素朴な疑問。たとえば、「コンビニがひとつもない」「イオンもマクドナルドもない、FC系の店舗もない」「カーフェリーも運航されていない」「島のクルマは品川ナンバー」という具合。
その答えが見つからないまま、東海岸側の険しい道を行くと、サンバーの“独り舞台”。断崖が続く東海岸の道は、カーブや勾配も厳しく、しかも道中でクルマや自転車、歩行者とほとんど出会わない。
登り坂では後輪のトラクション、下り坂では前輪のリニアな操舵感に“違い”を感じながら「農道のポルシェ」を走らせる。驚いたのは、リアで回る4気筒エンジンの音。ルルルルルときれいに響くリズムが心地よく、エンジンブレーキで坂を下るときも、いつもと違うドライブフィールに、ドキドキした。
タイムラプスでは、元町港から都道208号大島一周道路を走り、川端康成の小説「伊豆の踊り子」の舞台となった波浮港までを収録。途中、野増漁港(右手)や間伏地層断面(左手)も見える(周辺写真23枚)。