深刻な水資源問題人間が生きていくのに欠くことのできない水。今、世界では「人口の増加」、「気候変動」、そして「水紛争」により、水資源問題が深刻となっている。それでなくても熱帯に位置するアフリカなどの地域は、歴史的にも水を巡る紛争が絶えず、女性や子どもたちが水くみの重労働に負われるという状況が続いている。その打開策の一つとして、浄水装置の高度化が挙げられる。ヤマハ発動機では、川や湖からくみ上げた水を飲料用にする浄水装置「ヤマハクリーンウオーターシステム」を、アフリカやアジア諸国に設置する事業を進めている。現代に合わせて緩速濾過式改良このシステムは、1829年に英国で開発された砂濾過法で、世界各地で古くから使われてきた「緩速濾過式」をベースに、現代に適した改良を加えた浄水装置だ。ポンプでくみ上げた水を複数の水槽に順に通過させ、ゆっくり濾過。砂や砂利の入った「前処理槽」で不純物をあらかた取り除き、微生物の入った「バイオ槽」を通し、最後に濾過して殺菌装置を通せば飲み水ができる。凝集剤や膜を使用しないシステムであるため、環境負荷が少なく、河川や湖沼の表流水を原水に、1日に8000リットル(約800~1200人分)の水を供給することができる。構造がシンプルなため、メンテナンスも容易だ。小型で維持管理も手軽なため、地元住民でも事後のメンテナンスがしやすく、水道インフラの未整備な農村の、住民の暮らしに役立っている。二輪車市場開拓の狙いも安全な水のおかげで病気が減り、女性や子どもが水くみの重労働からも解放される。さらに、アフリカなどの新興国は二輪車の市場開拓の余地が大きいため、浄水装置の普及を通じて「YAMAHA」ブランドをより浸透させる狙いもあるとみられる。設置費用は約10万ドル。各国で活動する非政府組織(NGO)が日本の政府開発援助(ODA)の資金提供などを受けて導入している。ヤマハ発動機は2010年からインドネシアで浄水装置の販売を始め、これまでにベトナムやセネガル、モーリタニアなど計6か国で10基を設置している。ヤマハ発動機は今年、アフリカではベナン、アンゴラ、コンゴ民主共和国などに設置する計画で、将来的にセネガルの関係省庁とも連携し、装置を増やす構想を練っている。(画像はヤマハ発動機のホームページより)
ヤマハ発動機の浄水事業、ブランド浸透で二輪車開拓に一役
エマージング・マーケット
中東・アフリカ
【注目の記事】[PR]
ピックアップ
アクセスランキング
- 「鈴鹿8耐」最注目のヤマハ車は完全新作の『YZF-R9』! 150万円を切るなら「ブレイクの予感」しかない
- 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
- もしも「タイプ992」が初代911をオマージュした世界線だったら…? ウクライナのデザイナーが再解釈
- 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
- 新世代MINI『クーパー』と『エースマン』に全身ブラックの「モノクローム」登場
- 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
- 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
- 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
- 「泥が似合うグレードを!」三菱『パジェロ』がPHEVで復活!? スクープ情報にSNS沸く
- シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立