陸上には「キング・オブ・アスリート」と称えられる競技がある。それが短距離走から長距離、棒高跳びまで行うという十種競技だ。飛んで、走って、投げて。陸上のすべての要素を一人、高いレベルでこなす。だからこそ、キングと称えられるのだ。
そんな存在が、VW『ゴルフ』シリーズに生まれた。『ゴルフ オールトラック』だ。
欧州と日本のカーオブザイヤーを獲得し、世界が認めた「ゴルフ7」。これに使いやすい荷室をプラス。さらにオフロードもこなす4輪駆動システムや、ベースのゴルフよりも、やや大きめの1.8リットルTSIエンジンを与えた。エクステリアもインテリアも専用意匠だ。そうやって、ベースとなるゴルフに、アレもコレもと価値をプラスした存在がゴルフ オールトラックだ。
試乗コースは箱根。裏道に入れば道は狭く荒れていたりする。アップダウンもきつい。しかし、そんなところもゴルフ オールトラックであれば、まったく気にせずに入り込める。ラフロードも走れるようになったからといって、オンロードの走りが悪くなったわけではない。
それよりも、ちょっと高くなったアイポイントや車高によって、運転は楽になった。さらに余裕あるパワーもあるので、ペースを上げるのも簡単。乗り心地もスポイルされていない。
便利で速く、安心感も高い。舗装路からオフロードまで路面も選ばない。狭い裏道から高速道路のロングドライブ、キャンプだってスキーだってOK。どこにだって行ける! このオールマイティさが十種競技選手に通じる。まさにゴルフ・シリーズのキングだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
鈴木ケンイチ|モータージャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材、ドライブ企画まで幅広く行う。特に得意なのは、プロダクツの背景にある作り手の思いを掘り出すインタビュー。