【フォード クーガ 試乗】大人の女性がさりげなく乗りこなしても素敵なクルマ…まるも亜希子

試乗記 輸入車
フォード クーガ トレンド
フォード クーガ トレンド 全 14 枚 拡大写真

走ればタフ、使えば人に優しい、SUVの王道を『エクスプローラー』とともに歩んできたフォードが、そのノウハウを注ぎつつ都市部での扱いやすさも高めたミドルサイズSUV。それが、スタイリッシュなのにどこか親しみやすさのある『クーガ』だ。

近ごろはオンロード性能を重視したクロスオーバーSUVがウヨウヨと出ていて、室内空間を犠牲にしてでもデザインを優先し、クーペのようなルーフラインをとるモデルが多い中、クーガはそうしたことはなく、デザインと機能をうまく融合しているのが魅力的。ミドルサイズでもスタイリッシュでも、やっぱり王道の血がしっかり流れているのだと感じさせてくれる、稀少なクロスオーバーSUVだ。

そんなクーガのパワートレーンは、フォードが125もの特許技術を投入して実現した、少ない燃料でより大きなパワーとトルクを発揮できる環境型エンジン、「エコブースト」を採用。これまでは1.6リットル直4直噴ターボだったが、今回新たに1.5リットルと2.0リットルの2タイプとなったのが大きなトピックだ。

1.5リットルは、これまでの1.6リットルと同等の182ps/240Nmを維持しながら燃費は34%向上した12.7km/リットル。アイドリングストップも採用されている。そして2.0リットルは、2.5リットルだった初代クーガを凌ぐ242ps/345Nmのパワフルさで、燃費は10.0km/リットルを達成。いったい乗り味にはどのような違いがあるのか、期待しつつ試乗へと向かった。

まずは、クラストップのトルクを誇る2.0リットルで高速道路へ。走り出しから感じるのは、ガッシリとした剛性感を持ちながら、余裕たっぷりでなめらかに駆けていく豊かな加速フィールだ。追い越しなどで一瞬だけグイッとパワーが欲しくても、ぜんぜん頑張り過ぎる感じがなく、思い通りに操れるのが心地いい。

そして、より注目度の高い1.5リットルに乗り替えてみると、低速からの軽やかさが引き立って、スポーティな印象が強い。ドッシリ感は少し控えめになるが、その分、加速減速のメリハリがつけやすく、例えば首都高の小さなカーブが連続するような場面では、小気味いい動きがとても爽快だ。上り坂などでは2.0リットルほどの余裕はないものの、今回の大人2人+荷物くらいならまったく問題なく走れることも確認した。

どちらのエンジンにも6速ATが組み合わされているが、この制御がまた秀逸。ちょっとした渋滞などでもモタモタするところがなく、高速域では静かに気持ちよく引っ張ってくれる。また、クーガが採用しているインテリジェントAWDは、オンロードをいかに的確に安定して走れるかを瞬時に判断してサポートしてくれるから、いつも通っているコーナーが見違えるように気持ちよく抜けられてビックリ。試乗時は雨がパラつき、路面がウェットのところもあったが、そんなことはまったくネガ要素にならない快適さが全身に広がった。ゲリラ豪雨などの異常気象が避けられない昨今、この安心感があるのと無いのとでは、相棒としての満足度まで違ってきそうだ。

本革巻のステアリングや10wayのパワーシート、左右独立温度調整機能付きのオートエアコンなどで、身体を心地よく包んでくれるキャビン。6:4分割でスッキリとフラットにできるシートアレンジや、両手が塞がっていても足の動きでゲートが自動開閉できるラゲッジ。SUVの頼もしさに、そうした気の利いたホスピタリティがあり、革新的な2つのエコブーストの走りが選べるクーガは、ちょっとアクティブなカップルやファミリーに似合いそう。ホワイトプラチナム、ルビーレッドの2色の新色も、プレミアム感とセクシーさが加わって、大人の女性がさりげなく乗りこなしてもステキ。

新しいクーガは、流行やミーハーで選ぶんじゃなく、堅実だけど一目置かれるファーストカー候補になりそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー(2005-2012等)選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。公式ブログ『運転席DEナマトーク!』他アップ中。

《まるも亜希子》

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