【ボルボ XC60 ディーゼル 試乗】FWDでも抜群のドライバビリティーと安心感…中村孝仁

試乗記 輸入車
ボルボ XC60 D4 Rデザイン
ボルボ XC60 D4 Rデザイン 全 15 枚 拡大写真

試乗会場となった、軽井沢鹿島の杜ホテルから鬼押し出し方面にノーズを向ける。あいにく天候は雨。それもハンパな降りではない。

一気に5車種もディーゼルエンジン搭載車を投入したボルボ。そのうちの1台が『XC60 D4』だ。ボルボにはこれ以外にD5の名を持つ2.4リットルディーゼルもあるのだが、こちらは日本導入されていない。しかし、便宜上の識別か日本国内で新しい2リットルドライブEエンジンベースのディーゼルはD4の名を持つ。

今回試乗したのはXC60でもスポーツマインド溢れる「Rデザイン」のモデル。クロスオーバーSUVだが、ディーゼルを搭載したモデル群にAWDの設定はない。だからこの試乗車もFWDだ。しかし、そんなことを差し引いてもXC60 D4の雨中におけるドライバビリティーは素晴らしい。

中軽井沢から鬼押し出しに向かうルートは、前半にかなりの急こう配の登りがあるのだが、立ち上がりからパワーをかけても路面をしっかり捉えて離さない。しかも1750rpmから400Nmの大トルクを絞り出すV8エンジン並みのトルク特性を持つから、踏んだらヤバいかなと思いつつ走っているのだが、滑り出す兆候も見せない。安心感は非常に高いのだ。

鬼押し出しハイウェーはストレートで緩やかな下り。エンジンのハミングはほとんど1500rpmに満たない状態が続く。勿論エンジンをはじめ駆動系の音は、跳ね上げる水しぶきと雨にかき消されて何も聞こえない。軽井沢の一般道を軽く流した時は、少しだけエンジンノイズが耳に届いたが、それでも気になるレベルではなかった。

ただし、ボルボのディーゼルは、車外放出音が少し高い。だから、早朝に住宅街などでは気を遣うかもしれない。だが、正直言ってそれは小さな問題であり、沸き上がるようなトルクと極めてうまく制御されたトランスミッションの恩恵か、走りのスムーズネスは抜群で、それを考えると多少の近所迷惑も致し方ないという思いが支配的になる。

Rデザインは専用サスペンションと大径タイヤを装着している関係で、足は引き締まっている。どうしてもスポーティーに走りたい向き。もしくはスポーティーな出で立ちを求める人以外には、個人的にはノーマルサスペンションとより細いタイヤの組み合わせを推奨したい。

理由の一つはこのXC60が使う、ボルボP3プラットフォームが、基本的には既に10年選手に近づいたそれほど新しいものではないということ。このため、足だけを引き締めてしまうと、路面の凹凸をうまいなせず、突き上げ感となって室内に入ってしまうからだ。とはいえこれも、D4エンジンとこのクルマの持つドライバビリティーの前では小さなネガ要素だろう。

長距離を走破していないので、果たしてどの程度の燃費を記録するかはわからない。しかしながら、ライバルBMWの2リットルディーゼルがおおよそ18km/リットル台を記録するから、ボルボも似たようなものだと想像する。軽油の値段はハイオクと比較してその差40円ほど。走れば走るほどディーゼルの有り難味が増す。しかも抜群のドライバビリティーはそのままに、である。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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