【トヨタ シエンタ 新型】「車いす仕様」がカタログモデルであることのメリット

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トヨタ シエンタ 車いす仕様車
トヨタ シエンタ 車いす仕様車 全 9 枚 拡大写真

パーソナルユースとなる小型の福祉車両として、トヨタ『シエンタ』新型に車いす仕様車が設定された。

福祉施設の送迎などでは主にミニバンや1BOX車をベースとした福祉車両が使われているが、個人で所有する場合や福祉タクシーなどではこうしたコンパクトなモデルが重宝されている。

シエンタに用意される車いす仕様車は、タイプ1と呼ばれるモデルに、助手席側セカンドシート付きと、助手席側セカンドシートなしの2種類を設定。さらにタイプ2と呼ばれるモデルも用意される。

なかでも注目なのがタイプ1の助手席側セカンドシート付きのモデル。このモデルはスロープ式の車いす仕様車で、従来乗せることができなかったリクライニング機構付き車いすに対応したことが特徴的だ。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の方などは体勢を変えられるリクライニング機構付き車いすを使用することが多い。

パーソナルユースの小型福祉車両では、こうしたALSの方が使われることも多く、リクライニング機構付き車いす対応の小型福祉車両がメーカーのカタログモデルとして登場したことは非常に意味のあることと言える。

また、車いすの乗車位置がセカンドシートの左少し後ろ側となり、セカンドシートに乗った人が車いす利用者をケアできるということも、この仕様の特長だ。

車いす仕様車をカタログモデルとしたことは非常に意義がある。まず、製造ラインで造られることで、無駄になる部品の発生が極力抑えられる。以前の福祉車両は完成車を架装するため、シートを外して破棄したりといったことが行われていた。また、ボディを切って再度溶接したりするようなことがなくなったため、強度剛性面でも有利。錆などにも強くなる。

販売店側では登録時に実車を車検場に持ち込むことなく、標準車と同じように書類だけでナンバーが取得できるようになる。販売店での手間が掛からないということは、セールスマンも売りやすいということにつながり、より身近なものとなってきているということになる。

トヨタには、『ラクティス』に車いす仕様車があるが、こちらはルーフを高くするなどのエクステリアの変更が行われている。ユーザーのなかにはできるだけ車いす仕様車に見えない外観がいいという方も多く、今回のようなルーフが改造されていないモデルが待ち望まれていたという。これも標準車で低床フロアを実現できたからにほかならない。さらにトヨタはエアサス車を持っているため、そのパーツ(コンプレッサーなど)を流用してスロープ使用時にリヤ側の車高を下げるニールダウンを可能にして、スロープ傾斜角を9.5度と緩やかにしている。

また、ラクティスではリヤのスロープは垂直状態にまでしか収納できなかったが、シエンタでは垂直からさらに90度前方に倒すことができ、車いすを乗せない状態での使い勝手が向上している。助手席側セカンドシート付きモデルでは、車いすを乗せない際は5名の乗員と広いラゲッジスペースを得ることができている。

タイプ2はストレッチャーを乗せることが可能なモデルで、これまでストレッチャーを乗せるとなると、ミニバンや1ボックスタイプのクルマをベースとした福祉車両となってしまった。しかし、シエンタのようなコンパクトなクルマでストレッチャー対応モデルを求めていたユーザーもきっと多いはず。子供用の車いすなら、運転席から手が届く位置まで進入させることができ、運転者が車いす利用者をケアすることも可能となっている。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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