【K-TAI 2015】「レースでなら皆と一緒に走れる」車いすドライバー、初参戦に笑顔

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
独自の改造を施したカートで“K-TAI”に参戦した長屋宏和さん
独自の改造を施したカートで“K-TAI”に参戦した長屋宏和さん 全 23 枚 拡大写真

2015年8月30日に開催された「2015もてぎKART耐久フェスティバル“K-TAI”」の「エンジョイクラス7時間耐久」に、ひとりの車いすドライバーが参戦した。

【画像全23枚】

彼の名前は長屋宏和。1979年生まれの35歳だ。14歳からレーシングカートに乗り始め、フォーミュラードリームやF3に参戦。将来を嘱望されるレーシングドライバーであったが、2002年10月の鈴鹿サーキットのレースでクラッシュ。頸椎損傷四肢麻痺の重度障害者となった。足が動かないだけでなく指も動かない。現在は、車いす用ファッションブランド「ピロ・レーシング(Piro Racing)」を立ち上げている。

そんな長屋氏だが、「レースをするのは当たり前のことですから」と、事故の後も再びモータースポーツに挑戦しようとする。しかし、ステアリングを握ることもできないため、「カートをやるのは無理だよ」と言われたという。諦めきれない長屋氏は、ステアリングに両手を固定し、右手を押せばアクセルON、左手を押せばブレーキという機構を仲間と作り出す。そして、2004年には、自身のカートでレースに復帰したのだ。

その長屋氏が、初めて「K-TAI」に参戦した。参加したのは、「クラブレーシング」というメディア関係の人間が主体となっているチーム。3台のマシンが参戦し、1台につきドライバーは4人。そのうちの1台に長屋氏が乗ることになったのだ。

そこで問題となったのはマシンだ。長屋氏用に作ったステアリング/アクセル/ブレーキ機構は、他のドライバーが使えない。また、転倒時の安全を確保するための改造も必要であった。そこで、チームは長屋氏の乗る1台にロールバーと牽引フック、4点式シートベルトをセット。そして、ステアリング機構は取り外し可能とした。他のドライバーが乗車するときは、ステアリング機構をごっそりと入れ替えるのだ。

そして本戦の約1か月前に行われた練習会に、初めてチームに合流しての走行を行う。「他の人と一緒に走れるのを証明するために、コースアウトしないことが、僕のやるべきことでした」と長屋氏。ここで長屋氏はドライバーとしての非凡さを見せつけた。無事に走るだけでなく、チーム内でもトップレベルのタイムで走ってしまったのだ。「ストレートが遅いなあと思いました(笑)」と長屋氏。考えてもみれば、彼はF3も経験している人間。思い通りにマシンが動けば、プロの走りを披露するのは、ごく当然のことなのだろう。

そして、耐久本番の8月30日。今にも雨の降りそうな中、長屋氏はトップドライバーとしてスタートを切った。約20分の最初の走行を終えて帰ってきた長屋氏は、開口一番に「もっと走っていたいね」とニッコリ。「これなら100周くらいできそう。もう終わっちゃうの?」とも。

「普段の生活は、みなさんの手を借りないといけないことが多いんですけれど、サーキットはまったく別。誰も僕を障害者とは気にせずに一緒に走っています。それが嬉しいですね。もちろん、レースは誰もが安全というわけではありませんが、僕ができるのなら、他の人もできるはず。カートに乗れる人が増えるといいですね」と長屋氏。

終日ニコニコと楽しそうな様子の長屋氏は、最終ドライバーとして、午後4時に再びコースへ。そして30分の走行を終えて、無事にゴールを迎えた。

《鈴木ケンイチ》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 『セリカ』が復活、トヨタGRに大きな動きが!…7月のスクープ記事ベスト5
  2. トヨタ『カローラスポーツ』、日本にない2.0リットルエンジン搭載…米国2027年型
  3. フィアット『トポリーノ』に「Vilebrequin」、地中海沿岸のライフスタイルを表現
  4. トヨタ『ヤリス クロス』、「GR SPORT」を一部改良…10.5インチHDディスプレイを標準装備
  5. トヨタ『セリカ』ついに復活へ、GRスポーツ戦略は3本柱に?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 3000アンペアの急速充電に世界初成功、電動トラックの未来を切り開く…MAN
  2. 中国サプライヤーが日本市場へ本格攻勢、“長期戦略”と“チャイナスピード”両立する「DESAY SV」次の一手とは
  3. 機械式駐車場の最適化コンサル、マンション管理組合向けに新サービス開始…さくら事務所
  4. 大和ハウスベンチャーズ、自動運転幹線輸送のT2に出資…レベル4実現へ
  5. 【バッテリー リスキリング講座】車載用全固体電池の開発状況と今後の展望
ランキングをもっと見る