【BYD ラッコ 新型試乗】1週間、日常使いをしてわかった「2つのメリット」と「3つの課題」…中村孝仁

BYD ラッコ 300プレミアム
BYD ラッコ 300プレミアム全 41 枚

ネットでBYD『ラッコ(Racco)』を検索すると、まあ出てくるわ、出てくるわ。そうした意味では世間の耳目を集めたイニシャルでの広報宣伝活動は、大成功だった。

【詳細画像】BYD ラッコ 300プレミアム

すでに筆者も含め、試乗会でその実力の一端は見せてもらった。補助金を含めた価格では、少しライバルの後塵を拝するものの、クルマの実力勝負という点では、ライバルを凌駕する部分がとても多い…というのがおおよその評価だと思う。僅か2年でこれを作り上げ、ここまで煮詰めたメーカーの実力は、大いに評価されてしかるべきだと感じるわけである。

そんな本邦初の、海外メーカーによる軽自動車市場への本格参入というわけで、改めて1週間ほどお借りして、あれこれ使い勝手を検証してみた。結論から行けば、基本的な良さは上書きされ、新たに少々ネガな部分も見えてきた。

◆1週間、日常使いで250km

BYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアム

1週間で試乗した総距離は、250kmほどだ。決して多くはない。しかし、あえてどこへ行く、という明確な目的(試乗のためという)を持たずに、普通に日常に使った結果の距離である。4倍すれば月1000km、年間12000kmという計算になるから、多くの一般ユーザーと同じような走行距離なのでは? と思う。

そうした意味で、実際はともかくWLTCによる320kmの走行距離は、こうした日常使いには非常に理にかなったもののように思えた。やはりちょっとした買い物に行くには非常に便利で、結果的には週に一回充電すれば事足りるのだから、まさに日頃の足としての機能はほぼ完ぺきである。

BYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアム

音が静かであるという点は、BEVならば当たり前のことなのだが、このクルマの場合遮音性にも優れているようで、日常的な走行スピードの場合、車内会話は完全に家で話しているレベルでおこなえる。これがラッコのメリット1。ステアリングは非常にスムーズで運動性能もとても好ましい。

でも、より軽さを求める女性ユーザーに、果たしてこのステアリングの重さが適度なのかということになると、それは今後のサーベイによることになるのだろう。デメリットというほどの重さではないと思うが、求める層によっては重いと感じるかもしれない。

◆重さも背の高さもハンデにならない運動性能の良さと乗り心地

BYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアム

メリット2は運動性能の良さと乗り心地だ。軽自動車の中では最重量級である。まあ、BEVでバッテリーを搭載しているからやむを得ないということだが、同じような可能走行距離を持つホンダ『N-One e』と比べても、200kg重い。スーパーハイトであることも重さの要因だが、要は最重量である。ただ、1230kgという車重は最近の小型車ではごく普通。つまり小型車(軽ではなく)と思えば納得できるし、何よりもその小型車レベルの乗り心地を持っている。

それに運動性能も、背が高いハンデを差し引いても、かなり高い実力持っていると思えた。走行モードはスポーツ、ノーマル、エコのほかにスノーモードが付く。エコだと発進加速にもたつき感があるが、通常走行時には気になる点無し。ノーマルモードでも、電費に大きく影響している印象はないので、日常的にはノーマルモードがお勧めである。

BYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアム

室内の広さについては、ライバルのスーパーハイト系と同じ。リアシートを後ろに下げ、フロントシートを前に出すと、軽々と足が組めるレベルのレッグスペースがあるし、ヘッドクリアランスについては、逆にあり過ぎて、運転時には車に乗っている感覚さえ忘れるほどである。

余談だが、フロントシート背後にある謎のストラップは、他の同僚による報告だと、なんでも濡れた傘を立てておくためのストラップだそうで、その雨滴の受け皿もちゃんと用意してある。また、パッセンジャーシート下にあるトレイは、後ろからでも前からでも引き出すことが可能だった。

◆使ってわかった「3つの課題」

BYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアム

果たしてメインターゲットがどこにあって、実際に身長の低いユーザーがどの程度存在するかは不明だが、身長が低いがゆえにデメリットと感じた部分を(筆者の身長は160cm)紹介しておく。それはルームミラーの位置である。スーパーハイト系あるあるではあるが、自分が適正なドライブポジションを取ったうえで、ミラーを確認すると、目線の移動だけでは無理で、首ごと捻る必要がある。目線移動だけで済まそうと、シートのハイトをあげると、今度はアクセルペダルの踏み付けが適正でなくなり、踏み込んだ時に踵が持ち上がり、運転に強い違和感を持つ。

2つ目はテールゲート。元々結構な高さまで上がって、閉めるためのストラップなどもつかないから、低身長のユーザーは気になるかと思っていたが、実は閉める時にバウンドして、閉まったように見えて実際は閉まっておらず、走行時に警告が出るケースを複数確認した。このあたりは要改善と思える。

BYD ラッコ 300プレミアムBYD ラッコ 300プレミアム

3つ目はチョイ乗りでも指摘した、充電口の位置だ。やはり出来ることなら車両の“左サイド”につけて欲しい。これがグローバルな商品ならば致し方ないと思えるが、とりあえずは日本専用だから、本来は左サイドが適切だと思う。

とまあ、走りに関しては良い点が再確認され、少し不便に感じた点はちょっと増えた。いずれにせよ、競争力は抜群に高い。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。 

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【BYD ラッコ 新型試乗】1週間、日常使いをしてわかった「2つのメリット」と「3つの課題」…中村孝仁
  2. トヨタ『ノア/ヴォクシー』次期型は新開発エンジン搭載のHEVに…土曜ニュースランキング
  3. ホンダ『WR-V』が2027年に大幅改良か? 新顔デザイン採用、待望のハイブリッド追加も!
  4. 純水洗車の「The Fleur MISATO」、「洗い放題.com」が埼玉・三郷にオープンへ…9月26日
  5. 人気ミニバンが2027年にも大進化へ! トヨタ『ノア/ヴォクシー』次期型は新開発1.5LエンジンHEVか?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 【全文PDFプレカン】日産自動車 長期ビジョン発表会
  2. トヨタ自動車・人事情報 2026年6月17日付・7月1日付
  3. 累計15万枚突破「ゴリラマット」、初代『N-BOX』専用モデルを追加…TPE素材採用の3Dフロアマット
  4. 廃棄ガラスのフロート板ガラス水平リサイクルに成功、日本板硝子と板硝子協会が国内初実証
  5. ポルシェはなぜブガッティを手放した? 10億ユーロで売却、選択と集中へ
ランキングをもっと見る